──アイドル界の仁義とは、どういった内容になるんでしょうか?
岡田 48グループは山守組みたいな巨大組織だから、当然、そこにはいろんなメンバーのいろんな思惑があるわけですね。どれが正解だかわからないけど、私としては自分のグループを大事にして、仲間を大事にすることを第一に考えています。『仁義なき戦い』が悲しいのは、「正義は必ず勝つ」という理想論が成立しないところなんですよね。裏切って仲間を殺すような登場人物が最後は笑っていたりする。アイドルの世界はそんなことがあってはいけないし、まっすぐ頑張っている人が報われるべきだと思います。だからこそ、アイドル版の仁義が必要なんです。
──『仁義なき戦い』は集団群像劇ですが、AKB48グループという組織の中で板挟みになったことは?
岡田 ありますね。たとえば私の場合はAKB48とSTU48の兼任をさせてもらっているので、後輩が私に相談したくても、現実的になかなか会えなかったりするんです。そうすると、力になれない自分がもどかしくて……。私も入ったばかりの頃は先輩に頼ってばかりいたんですよ。気がついたら自分は7年もAKB48にいて、先頭に立って引っ張らなくちゃいけない立場になったけど、果たしてそれができているのかなって考え込むことはあります。
──その苦悩、まさに広能昌三そのものじゃないですか(笑)。
岡田 『仁義なき戦い』の中では、坂井鉄也と新開宇市が同じ組の中で対立し合うじゃないですか。あれも結局はちょっとした誤解というか、ボタンの掛け違いが始まりだったと思うんです。でも大人数のグループで活動していると、そういう誤解ってどうしても出てきちゃうんですよ。そこで私がどちらかの意見に肩入れしたら、収拾がつかなくなる。だから、両方の意見を公平に聞かなくちゃいけない。でも、それには時間が足りない。身体が2つ欲しいくらいです。本当に悩みは尽きないですよ。
──気がついたら、中間管理職的な立場になっているわけですね。
岡田 後輩から「岡田さん、私たちはこう考えているからスタッフさんに伝えてください」って相談されることもあるんです。だけどスタッフさんはスタッフさんで、プロとして全体の流れを考えながら指示を出しているわけじゃないですか。私は両方の立場が理解できるんですよ。こういうとき、広能昌三だったらどうするか? おそらく親分側の意見を尊重するはずなんです。なんのかんの言って、最初に自分を救ってくれたのは親分ですから。だけど、私はそこでメンバー側の意見に立ってしてしまうんです。自分自身がメンバーである以上、どうしても基本の目線はそっちになりますよね。