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UPDATE|2024/03/28

『不適切にもほどがある!』サブプロットが多すぎるにもほどがある!最終話の結末はいかに

『不適切にもほどがある!』公式HPより

脚本:宮藤官九郎、主演:阿部サダヲによるTVドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)の第9話が、3月22日に放送された。(以下、これまで放送されたドラマのネタバレを含みます)

【写真】『ふてほど』最終話のゲスト【3点】

エピソード・タイトルは、「分類しなきゃダメですか?」EBSテレビに勤務する渚(仲里依紗)の後輩・杉山(円井わん)が、カウンセラーの市郎(阿部サダヲ)に相談する場面から始まる。妊活について語った渚のインタビュー記事が、杉山のことを指したアウティングであり、マタハラであると訴えたのだ。渚は「特定の誰かのことについて語ったつもりはないのに…」と肩を落とす。

今回は特にセンシティブなテーマを扱ったものだな、と思って観ていたら、恋愛にさほど興味がないと語る秋津(磯村勇斗)がマッチングアプリで恋人探しをしたり、サカエ(吉田羊)と息子の担任教師・安森(中島歩)との恋模様が描かれたり、複数のエピソードが重ね合わされる展開に。正直、このような話の作りだとテーマがぼやけてしまうことは否めない。しかも杉山は、「結婚していないのにマンションを買って妊活している」、「無断欠勤が多い」という、“エキセントリックでヤバい奴”として描かれてしまっている。

これまでこのドラマは、一方的に昭和的価値観を称揚させるのではなく、令和的価値観と並置することで、問題を相対化させる試みがなされてきた。第一話では、本当の働き方改革とは?というテーマを、上司・部下で語らせることで。第三話では、セクシャルハラスメントのガイドラインというテーマを、昭和と令和のテレビ番組を対比させることで。

その手つきや結論のあり方に対して、SNSでは大きな批判にさらされることもあったが、宮藤官九郎は真摯な態度で多様性というテーマに対峙していたものと思う。だが、ここまで杉山を問題のあるキャラクターとして設定してしまうと、昭和的価値観と令和的価値観との対比ではなく、単にエキセントリックな人物による一方的な申し立てに見えてしまう。そうなると、昭和おじさんクドカンが、単に令和に噛み付く構造にも捉えかねない。個人的には、モヤモヤが残る回になってしまった。

AUTHOR

竹島 ルイ


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