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UPDATE|2023/08/31

さくら学院から女優へ、倉島颯良「(共演の)松井玲奈さんは物静かだけど、本当に面白い方でした」

撮影/河野優太

「ちゃおガール2012オーディション」で準グランプリを受賞したのをきっかけに芸能界入り。その後、女性アイドルグループ「さくら学院」のメンバーとして活躍、2016年度には6代目生徒会長(リーダー)を務め、グループ卒業後は俳優として活動する倉島颯良。映画『緑のざわめき』で松井玲奈と岡崎紗絵と共に異母姉妹を演じている彼女に、撮影エピソードを聞いた。

【写真】さくら学院時代は生徒会長も経験、倉島颯良の撮り下ろしカット【8点】

映画『緑のざわめき』は自分にとってターニングポイントになる作品だと振り返る倉島。演じるのは8年前まで施設に預けられていた高校3年生の杏奈で、響子(松井玲奈)、菜穂子(岡崎紗絵)と二人の異母姉がいるが、そのことは同居する叔母から知らされていないという境遇。

「初めて脚本を読んだときに思ったのは、なんて複雑な三姉妹なんだろうと。難しい家庭環境にある子を演じたことはあったんですけど、異母姉妹という複雑な人間関係に置かれた役はあまりなくて。とても重要な役どころに選んでいただいたので、驚きと同時に身が引き締まる思いでした。

姉妹それぞれの置かれてきた環境も違うので、一回読んだだけでは理解が追い付かなくて。何回も読み返す中で、杏奈は自分と似ているなという印象を受けました。私も人に気持ちを打ち明けるのが苦手ですし、ちょっと達観しているところがあるのも似ていました」

脚本も手掛けた夏都愛未監督が、杏奈役を考えたときに真っ先に浮かんだのが倉島だったという。

「杏奈は今まで演じてきた役の中でも一番自分に近い女の子でした。私自身は一人っ子ですが、本作は自分と血の繋がった姉妹がいることを知らないところから始まるので、むしろ一人っ子だったことが活きているのかもしれません」

夏都愛未監督との仕事は、オムニバス映画『21世紀の女の子』(19)の一篇「珊瑚樹」で主役に抜擢された以来だった。

「3、4年ぶりの再会だったのですが、『また一緒にお仕事できたらうれしいです』と言っていただいていて、それが本当に形になって、脚本をいただいたときは感激しました。夏都監督は雰囲気や空気感を大事にする方で、初めて『緑のざわめき』の脚本を読んだときも、それを感じました。

夏都監督が書かれる言葉や雰囲気、白黒はっきりさせない物言いがすごく好きなんですよね。現場での演出で言うと、『ここで、こう動いて』ではなく、『ここは、こういう風に余裕を持たせて演じてほしい』といった言葉遣いをされる方で、俳優に委ねてくださることが多いです」

杏奈が自分に似ているからこそ、役作りで苦労した面もあった。

「自分のこととして読んだところがあったので、杏奈をフラットに捉え過ぎていたんです。初めて夏都監督と読み合わせをしたときに、私が淡々とセリフを言ったせいか、『ちょっと緊張してる?』と仰っていて。緊張していた訳じゃないんですけど、自分自身に杏奈を寄せ過ぎてしまったところがあったんです。そのときに杏奈を表現するためには、自分の共感できる部分を超えて演じなければいけないなと思いました」
AUTHOR

猪口 貴裕


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