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UPDATE|2023/08/24

『リバー、流れないでよ』が口コミでヒット、日本が誇る秀逸な“時間SF”作品

『リバー、流れないでよ』メインポスター (C)ヨーロッパ企画/トリウッド 2023

『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や『バタフライ・エフェクト』など、海外にはタイムトラベルやタイムリープなどを扱った名作映画がいくつも存在する。しかし実は日本の映画界も負けてはいない。現在に至るまで、秀逸な時間SFが数多く生み出されてきた。

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劇団「ヨーロッパ企画」の代表・上田誠氏は、これまでアニメ『四畳半神話大系』(フジテレビ系)など様々なループもの作品を手がけてきた時間SFのスペシャリスト。上田氏は、最新映画『リバー、流れないでよ』でも時間SFへのこだわりを爆発させている。

同作は京都府の貴船にある旅館を舞台に、延々と繰り返される2分間に囚われた人々を描くタイムループコメディ。その見どころはなんと言っても、どの2分間もしっかり2分間の1カットで撮影されていることにあるだろう。

2分間を重ねるごとに違う顔を見せていくキャラクターとテンポよく進むストーリーは口コミでたちまち話題となり、上映館数も全国18館から着々と拡大中。公開から約1カ月が経った7月24日時点で観客動員数は4万人を突破し、ファンタジア国際映画祭(カナダ)のアジア部門では観客賞第2位に輝いている。

2020年公開の映画『ドロステのはてで僕ら』では“画面に映るもの全てが伏線になる構造”を導入し、数々の著名人が同作を大絶賛。お笑いタレントの山里亮太もその一人で、自身の公式X(旧Twitter)にて「上田誠さんすげぇってひたすらなりました!」「全ての伏線回収もので最多伏線最短回収だったきがします」と感激していた。

上田氏が手掛けた作品の中で、夏真っ盛りの今に観たいリープ映画といえば、2005年に公開された『サマータイムマシン・ブルース』だ。「ヨーロッパ企画」の代表作を映画化した青春SFコメディで、俳優の永山瑛太や上野樹里などが出演している。

物語は、とある大学の学生たちがひょんなことから手に入れたタイムマシンで昨日と今日を行き来するという内容。時間SF作品にありがちな悲劇や別れなどの要素はなく、とにかく終始明るく緩い雰囲気でストーリーが展開されていく。タイムマシンを使う理由も、クーラーのリモコンが壊れてしまったために、「昨日」に戻って壊れる前のリモコンを取りに行きたいからというなんとも平和的なものだ。とはいえ、作品の緩い雰囲気とは裏腹に、終盤での伏線回収は見事のひと言に尽きる。

ちなみに今年10月から始まるテレビドラマ『時をかけるな、恋人たち』(フジテレビ系)も、上田氏が手がけた作品。主人公と未来からやってきたタイムパトロール隊員が紡ぐSFラブコメになっているそうだが、はたしてどのようなSF展開が繰り広げられるのだろうか。


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