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UPDATE|2023/08/04

10月に新作、蒼井優・高橋一生・勝地涼…岩井俊二が『リリイ・シュシュ』で発掘した奇跡の才能たち

10月13日に公開される岩井俊二監督の最新作、映画『キリエのうた』(C)2023 Kyrie Film Band

2023年10月に公開を控え、大きな注目を集めている岩井俊二監督の新作映画『キリエのうた』。同作の主演を務めるのは、演技経験がほとんどないというBiSHの元メンバー、アイナ・ジ・エンドだ。岩井監督はこうした未知の才能を見つけ出し、可能性を引き出す手腕に長けている。なかでも2001年公開の映画『リリイ・シュシュのすべて』は、のちにスターとなる才能の原石が集結した作品だった。

【関連写真】BiSHメンバーへ手紙を綴るアイナ・ジ・エンド

同作は、「リリイ・シュシュ」という謎の歌姫をめぐる、少年少女たちの繊細かつ残酷な青春群像劇。とくに観る者の記憶に強く残るのは、援助交際を繰り返し、自ら命を断つ女子高生・津田詩織だろう。この詩織役を演じた人物こそ、今や誰もが知る実力派女優・蒼井優だった。

同作は、当時15歳の蒼井が映画デビューを果たした作品でもある。当然、役者としての経験は少なかったものの、その演技は監督にとって強烈なものだったようだ。公開からおよそ10年後に行われたCINRAのインタビューで、「彼女の演技を見ているうちに『むしろストーリーのほうを変えようかな』と思いました」と語っていた。

蒼井がその後、岩井作品の常連になっていることからも、『リリイ・シュシュのすべて』で示した存在感の強さが分かるだろう。

また、市原隼人にとっても同作は映画初出演作品にあたる。今では卓越した演技力の熱血俳優として知られるが、当時は初々しく、どこかあどけない姿を見せていた。

市原が演じた主人公・蓮見雄一は、「リリイ・シュシュ」に心酔する中学2年生。かつての親友から壮絶ないじめを受け、鬱屈した毎日を送っているというハードな設定だ。しかし彼の演技力はすでに光る部分があり、10代の若者が持つ複雑な感情を見事に表現していた。


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