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UPDATE|2023/07/27

ゾンビよりもブラック企業のほうが恐ろしい?『ゾン100』が問いかける人間らしい生き方

『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』(小学館)左が1巻、右が最新14巻


 “ブラック企業とゾンビ”だけでなく、2話で登場したヒロイン・シズカとアキラの対比も秀逸。アキラがビールを切らしたことに気付きゾンビに見つからないようにコンビニを到着した時、そこでシズカと鉢合わせする。ゾンビワールドで生き残るため、健康的な生活を送り、合理的な判断を常に行っているシズカ。だからこそ、ビールを手に取るアキラを馬鹿にする素振りを見せるが、本能的に生きるアキラをどこか羨ましそうに思うシーンもあった。

 確かにゾンビの有無に関係なく、シズカのほうが長生きする可能性が高い。それでもシズカの生き方を通して、「健康のためにあらゆる娯楽にも目を向けずに長生きする道を選ぶことは適切なのか?」という問いを本作から感じる。

最近はコスパやタイパなど効率性や合理性が支持されているが新型コロナウィルスの感染拡大からも嫌というほど痛感させられたが、いつ何時私達の生活が制限されるのかもわからない。シズカのように賢く生きることは素晴らしいが、ブラック企業にもゾンビにも振り回されずに、思うがままにビールを飲むアキラの姿がとても美しい。本作は基本的にはギャグアニメの色合いが濃いが、今私達は正しく生きているのかをついつい考えたくなる。本作を楽しみながらも自分自身の生き方を見つめ直したくなるアニメだ。

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AUTHOR

望月 悠木


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