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UPDATE|2023/07/25

ハリウッドザコシショウが語る笑いとコンプラ「俺は容姿いじりはアリ、デブもハゲも笑ってOK」

ハリウッドザコシショウ 撮影/松山勇樹

誇張モノマネやマニアックな時事ネタで人気を博すハリウッドザコシショウが、芸歴30年、いま全盛期を迎えつつある。毎夏恒例となっている単独ライブツアーは瞬く間にチケットがソールドアウト。急遽、9月17日(日)に東京・四谷区民ホールでの追加公演が決まったほどだった。アナーキーな芸風と捉えられているが、お笑いに関しては緻密な計算に裏付けされており、周囲からの信用も厚い。ベールに包まれた男の最深部に、5つのキーワードで迫る!(前後編の前編)

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1・健康について真剣に思うこと

ハリウッドザコシショウの単独ライブは、放出されるエネルギー量が尋常ではない。スタミナ、瞬発力、声量……常人離れした体力が彼に備わっていることは疑う余地もないが、そのために普段から肝に銘じていることは?自身の健康問題について正面から語った。

「事務所で年に1回は人間ドッグを受けているんです。そこで言われたのは、肝臓の数値がよくないということ。コロナが一段落してからは結構お酒も飲んでいたし、メシも炭水化物が大好きなので。そうすると、どうしても太ってきてしまう。やっぱり太ると舞台での動きにもキレがなくなるし、しんどくなるんです。

ただ難しいのは僕の場合は裸芸だから、太らないと笑いが取れないという面もある。そこは悩みどころなんだけど、笑いが取れても病気になってしまったらシャレにならないので、最近はお酒と炭水化物を控えるようにしています。痩せるのは大変だけど、太るのは簡単です。カールとか食って、後輩と飲みに行けばいいだけなんだから(笑)。

単独ライブだと2時間半わめきっぱなしで暴れているから、たしかに体力はめちゃくちゃ消耗するんです。でも、そのためにジムに通ったりとかは特にしていないです。疲労度だけでいえば、子供2人と奥さんを連れて朝からUSJとかで遊んでいるほうがよっぽどキツいです。ローリング・ストーンズは世界ツアー前に山ごもりをするという噂が昔ありましたけど、それでいうと僕の場合は単独ライブツアー前に子供をたくさん遊ばせます(笑)」

2・チャットGPTはお笑いを変えるか?

AIが社会に多大な影響を与えた。特にチャットGPTの登場によるインパクトは大きく、「作家、数学者、税理士、弁護士といった職業はなくなる」「作曲や絵画の能力が人類を凌駕するのも時間の問題」などとまことしやかに囁かれている。テクノロジーの進化によって、今後、お笑いはどのように変わっていくのか?

「お笑いは影響を受けないと思います。だって機械は人間のような鋭いツッコミなんてできないだろうから。『今、こういうボケが世の中で流行っている』とか、まとめる作業は向いていると思うんです。メソッドを研究することも得意かもしれない。でも、たとえば『電車の中でウンコを我慢していて、立ち上がった瞬間に屁が出ちゃった』とか、そういうのって理屈じゃ面白さを説明できないじゃないですか。

僕がやっているネタなんて、まさにチャットGPTがもっとも苦手な内容だと思います。そういう意味でいうと、僕のライブというのはAIに対する挑戦状です。『機械どもよ、俺様に追いつくことができるか?』って(笑)。僕の真似をしようとしても、単に大きい声を出すくらいが関の山な気がする。そもそもAIには、『裸になったら面白い』という感覚すら理解できないでしょうし。やけっぱちになっている滑稽さとか、機械が表現できるとは到底思えないんです」

3・コンプライアンスとマイルール

昨今、芸人を悩ませる問題のひとつにコンプライアンス規制がある。ちょっとでも悪目立ちするとネットで炎上する世の中になったため、テレビ局や事務所が“危険な笑い”を敬遠する傾向にあるのは事実だ。

「毎日、いろんなニュースが流れてきますけど、たとえば鳥羽(周作)シェフとかキャンドル・ジュンさんなんてネタにするにはうってつけの存在で。だから当然ライブでもやらせていただくつもりです。じゃあ「誰を、どこまで、笑いの対象にしていいのか?」というのは実は結構センシティブな問題。昔はやりたい放題で許されていたけど、今はNGということも多いですし。コンプラが厳しくなかった時代は、ネタで放送禁止用語をよく口にしていたんですけど、それをツイッターとかで拡散する人が出てきたものだから、今はもう完全に無理。

自分の基準でいうと、たとえば病気の人をいじるのは絶対やりたくない。だけど容姿いじりはアリだと思っているんです。デブもハゲも笑ってOKだし、そもそも俺自身がデブでハゲなわけだし(笑)。芸人だと、3時のヒロインなんかは容姿をネタにすることを辞めるって宣言したんです。もちろん彼女たちにもちゃんとした考えと戦略があるはずなんだけど、僕からするともったいないなという気もする。せっかく容姿いじりに適任なメンバーが揃っているのに、そこをむざむざ封印するんだから宝の持ち腐れじゃないですか。

お笑いの基本として、相手の頭を叩きながらツッコミを入れるという図式があるけど、それだって『そんなに強く叩く必要ないだろう』とかいう声も上がっていますから。こっちはケガをさせたくて殴っているわけじゃなくて、綿密に打ち合わせをしたうえで叩いているのに、調子外れの苦情が入ったりする。

以前、ライブをDVD化する際に、珍棒(※新聞紙をガムテープで巻いて作った模造の男性器を股間につけるネタ)にモザイクをかけられたことがあるんです。一目見て作り物とわかるとはいえ、『あまりにも卑猥だ』という意見も出まして。それで大阪のテレビ局の方が『なんでモザイクかけたんですか?うちならモザイクなしで放送しますよ』と言ってくれて、実際にオンエアしたんです。そうしたら、深夜にもかかわらず苦情が殺到(苦笑)。全部をさらけ出せるのはライブだけという気持ちは、そこでますます強くなりました。ライブならモザイクなんてかけようがないですから」

AUTHOR

小野田 衛


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