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UPDATE|2023/05/31

『だが、情熱はある』しずちゃん“完コピ”で話題、富田望生というカメレオン女優の凄み

ドラマ『だが、情熱はある』 公式Twitter(@daga_jyounetsu)より



また、大ブレイクのきっかけとなったドラマ『3年A組 -今から皆さんは、人質です-』(日本テレビ系)では、教師に監禁される人質の一人・魚住華を演じている。

実際に家に帰れない状況へのリアリティを増すため、目の下にクマを作り、ベッドではなく固い所に寝る生活を続けて役作りを行っていたそうだ。多少無茶とも言えるような役作りが功を奏し、演技に対する情熱がこちら側にも伝わってくる。

『だが、情熱はある』でも身長が足りないため、厚底を履いて演技をしているというが、彼女の「しずちゃんらしさ」はそうした外見上の変化だけではない。相方の山ちゃんを見る目つきや声の抑揚で威圧感を与え、初期の「南海キャンディーズ」しずちゃんにあった独特のもったりしたスケール感をトレースしているのだ。

ただ似せるのではなく、どうすれば本質的な「らしさ」に近づけるか、その勘所が異様に優れているのだろう。

また、今の映像業界には若手女優における名バイプレーヤーはあまり数が多くない。だからこそ注目が集まるのも早いと言えるが、今後は主役として富田がキャスティングされる日も近いだろう。

似たようなルートを辿った女優として思いつくのが伊藤沙莉だ。名前が一般層に広まったタイミングでは名バイプレーヤーという肩書きだったが、それからほんの数年後には朝ドラの主演を務めるほどになっている。

多様なキャラクター性や背景が求められる現代で、作風に応じて様々な人物を見事に演じ分けられるバイプレーヤーは、もはや映像界で一番の出世ルートとなっているのかもしれない。

2023年は富田にとってさらなる飛躍の年になりそうだ。彼女の演技力と、ストイックな役作りを武器にこれからも視聴者を魅了し続けることだろう。

富田望生というカメレオン女優の凄みは、彼女の持つ無尽蔵の“情熱”から来ているのだから。

【あわせて読む】『だが、情熱はある』に見る、実在する人物を演じることの難しさと高橋&森本の覚悟

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