■『名探偵コナン 純黒の悪夢』天海祐希劇場版シリーズ20周年記念作品となった『純黒の悪夢(ナイトメア)』には、女優の天海祐希がゲスト出演している。
彼女が担当したキュラソーは、記憶を失った謎の女性という役どころ。のちに自身の正体を思い出すのだが、その前後で天海の演じ方が異なる。声のトーンや話すスピードなどを絶妙に変えて、「記憶を失ったキュラソー」と「記憶を取り戻したキュラソー」を見事に演じ分けているのだ。
ただ本人いわく、声だけですべてを表現する声優の演じ方に相当苦労したようで、2016年3月に行われた公開アフレコイベントで、ものすごい数のNGを連発したことを告白。「画ができているところに声を当てていくのは、自分が思っている以上に表現しないと色が出ない」と、アフレコの苦労を覗かせていた。
また劇中屈指の名言とされる「止まれー!」という台詞にも、ちょっとした裏話が隠されている。
2021年10月24日に、TBS系列で放送された『日曜日の初耳学』(当時は林先生の初耳学)の対談企画「インタビュアー林修」で天海が語ったところによると、もともと台本上では「止まって」という台詞だったそう。
それを彼女自らアドリブで「止まれー!」に変え、のちに青山から「あれは『止まれ』で正解」と褒められたことを明かしていた。つまり名女優ならではの決断が、クライマックスの緊迫感を際立たせていたのだ。
■『名探偵コナン ゼロの執行人』上戸彩劇場版シリーズ第22弾『ゼロの執行人』では女優の上戸彩が、容疑者となってしまった毛利小五郎を担当する弁護士・橘境子を演じていた。
弁護士という役柄であるため、劇中では専門用語が多数含まれる長台詞がチラホラ見受けられる。それでも2018年3月に行われた公開アフレコイベントでは、一度も詰まることなくアフレコをこなしていた。
しかも同年4月に掲載された「WEBザテレビジョン」のインタビューによれば、収録にかかった時間はおよそ2時間。あまりのスムーズさに、スタッフも驚いていたそうだ。
上戸といえば、ディズニー映画『マレフィセント』でオーロラ姫、『ズートピア』では主人公・ジュディの日本語吹き替えを担当した経歴がある。持ち前の演技力に加え、数々のアフレコ体験が『名探偵コナン』にも活きたのだろう。
ところで上戸が同作に関わるのは、これで2度目。実は2006年に本人役としてTVアニメ版に出演しており、『ゼロの執行人』は約12年ぶりの抜擢となった。
毎作、劇場版シリーズを彩っている豪華なゲスト声優たち。そのたしかな存在感は、作品を大いに盛り上げる一助となっているに違いない。
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