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UPDATE|2019/05/24

現役アイドルのまま結婚、そして…Negiccoの今を追う「入籍後、初めてのお見送りでファンは…」

下からNao☆、Megu、Kaede、吉田豪、タワーレコード嶺脇育夫社長(代官山LOOPのイベント時に撮影)


もうひとつの理由は、そんなに大きな会場ではできない、という消極的なもの。現役アイドルが結婚を発表し、入籍直後にファンの前に立つ、というほとんど前例のないケース。本人も運営サイドも「発表したらネットは大炎上するんじゃないか?」と、悪い方向に考えていた。前例がないことだから、けっして楽観的にはなれなかった。

ところが深夜の発表にも関わらず、ネット上は「おめでとう!」の声で埋め尽くされ、気がつけば「Negicco」がtwitterでトレンド1位に輝いていた。ちょうどアイドル業界にネガティブな話が蔓延していたタイミングだったこともあって「15年以上、ローカルアイドルとしてがんばってきた子が幸せを掴んだ」というニュースは、幅広い層に一服の清涼剤として受け止めらたようだ。

イベントの壇上にはプロインタビューアーの吉田豪、そしてタワーレコードの嶺脇育夫社長も登場したが、これは「もしファンの方が怒っているようだったら、2人にフォローしてもらう」という意味をこめてのブッキングだったようだが、それは完璧に杞憂に終わった。昔から彼女をよく知る2人とのトークで、会場はとてもなごやかに。結婚しても、なにも変わらないNao☆のほんわかしたトークと、スベりがちなギャグ連発にファンはどこか安堵したようでお祝いムードはさらに加速することになる。

後半はNao☆によるソロライブ。ただ、4曲を歌い終わったところでサプライズゲストとして、MeguとKaedeが登場。一応、サプライズのつもりだったが前半のトークで「さっき、かえぽが……」と楽屋にメンバーがいることをポロリ(すぐに「LINEで!」とごまかそうとしたが、もうバレバレだった)。ファンとメンバーが一緒になってリーダーの結婚を祝福する。当初、アンコールはまたNao☆がひとりで歌う予定だったが、当日になって「やっぱり3人で歌いたい」とNao☆が申し入れたことで、ソロイベントなのに3人で歌っている時間のほうが長い、という面白い状況に。最後は定番曲「圧倒的なスタイル」で会場全体が肩を組んでのラインダンス。極めてアットホームなムードで、祝祭の儀はお開きとなった。

筆者も結婚については、ファンと同じタイミングで知らされたのだが、昨年の秋ぐらいから「?」という違和感はおぼえていた。夏に15周年ライブを成功させ、秋には中野サンプラザでのリベンジ公演(前回の初ライブがメンバーにとって納得のいかない内容になってしまったので、取り壊されてしまう前に後悔のないステージを見せたい、というのがコンサートの裏テーマだった)があったのだが、そのあたりからメンバーは「20周年は日比谷野音に戻ってきたい」と公言するようになっていた。

すでに満員の観客で埋め尽くしてきた会場であり、そこからさらなる高みを目指してきたのに、なぜ20周年という節目でそこに戻ろうとしているのか? と、そのときは疑問に感じていたのだが、きっとメンバーはその時点でNao☆の結婚を知らされていて、それでも20周年は3人で迎えよう、Nao☆が途中でお休みするようなことがあっても大丈夫なように、あえて高い目標は設定せずに日比谷野音への帰還、という現実的な目標を掲げたのだろう。この6月にはMeguも30歳の誕生日を迎える。Negiccoはまだどのアイドルも歩んでいない道のりを、無理せず、ハッピーなものにしようとすでに動いているのだ。
AUTHOR

小島 和宏


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