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UPDATE|2021/02/23

NMB48が“ナンバトル”で得た収穫とは? 劇場公演3クールを忖度なしで徹底レポート【写真18点】

2月19日(金)きゅんmart 撮影/東由樹


■2月20日(土)ちょうぜつかわE

 1クール目の評でも書いたが、このグループの鍵を握るのは4人の7期生だ。キャリア半年の彼女たちが、いきなりクラス分けをされて、採点までされるのは酷としか言いようがないが、先輩のテクニックを吸収するチャンスだし、名前を売る絶好の機会でもある。

 2週前に筆者は、「光るものが一瞬でもあれば、それでいい」と書いた。たった2週間ではあるが、7期生はかなり伸びた。レッスンで食らいついてきたのが伝わってきた。もちろんムラはあるが、2週間でここまで成長したことは、今後のアイドル人生の糧になる。

 数年前、あるコンサートのレッスンでこんな場面を見たことがある。AKB48の柏木由紀は『未来の扉』を後輩に指導していた。「鳥が歌い」という歌詞があるのだが、そこで柏木は後輩たちにこう伝えた。

「ここはね、飛んでいる鳥を想像するの。その鳥はどこを飛んでいる? 何メートル上空にいる? その鳥を見るの。そうすると、会場が一気に広くなるの。それだけが正解じゃないけど、表現するってそういうことだと思うよ」

 一字一句正確に記憶はしていないが、アイドル道を極めた先輩はそのようなことを伝えていた。自分が歌詞の世界をまず想像できるかどうか。そうしないと、観ている者にその世界を想像させられない。そのようなことが言いたかったのだろう。

 その“観客に想像させる力”が、第1クールでのこのグループの課題だった。2週間後にはその点がかなり伸びていた。第1クールは77点としたが、今回以下のように採点したのは、その伸びを評価したからだ。これぞ、このバトルの意味だと思う。

筆者採点:86


■2月20日(土)FRONTIER

 MCで副キャプテンの安部若菜が話していたことが印象的だった。「個人で成長すれば、FRONTIERが成長すると思っていた」という。しかし、グループの得点は伸びなかった。スタッフから「グループ感がない」とのアドバイスを受けた。すると、安部は「グループで頑張らないといけない」ということに気づいていった。

 “個人とグループ”問題は、グループアイドルにとって常につきまとうものだ。輝いている個人が集結すれば、すごいグループになる。多くのアイドルからこの言葉を聞いてきた。だが、現実はそうではない。個人の魅力の集合体がグループの魅力ではない。だったら、グループを組む意味が見えなくなる。じゃあ、グループで何かをする意味って何だろう? この考えに安部は行き着いたのだろう。

 ここに到達できただけでも大きな収穫だった。それによって得点にも結びついたし、観客の心にも届いたからだ。

筆者採点:85

     *     *     *

 以上、3クール18公演が終了した。公式採点の結果、各クールとも1位はW1N-C、2位はきゅんmartだった。結果は数字によって順位がつけられたが、メンバーは数字以上の手応えを得たはずだ。

 決勝大会は3月2日、大阪・オリックス劇場で行われる。

【あわせて読む】NMB48は“ナンバトル”でグループを刷新できるのか、劇場公演を忖度なしで徹底レポート
AUTHOR

犬飼 華


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