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UPDATE|2021/02/10

女優・坂井真紀が語る高橋伴明監督の撮影現場「伴明さんはすごく豪快で生命力あふれる方」

坂井真紀 撮影/松山勇樹 スタイリスト:梅山弘子(KiKi inc.)ヘアメイク:ナライユミ

どんなに「自分は元気だ」と思っていても、生と死はいつも表裏一体。人は誰でも、この世に“生”を受けた瞬間から、“死”に近づきながら生きている。来たる2月20日より、全国で順次公開となる映画『痛くない死に方』(高橋伴明監督)は、そんな普段はあまり意識することのない当たり前の“摂理”に、真っ正面から深く切り込んだ話題作。在宅医療のスペシャリストとして、2500人もの人々の“最期”を看取った医師・長尾和宏氏の同名原作をもとに描かれる、命の尊厳をめぐる物語だ。今回、同作で末期がんの父を自宅で看取る女性・智美を演じた坂井真紀さんにインタビュー。初参加となった“高橋組”の印象と、作品に対する想いの丈をうかがった。(前後編の前篇)

【写真】笑顔でインタビューにこたえる坂井真紀と、映画場面カット【12点】

――原作は、1995年から在宅医療を続けられている医師・長尾和宏氏によるノンフィクション。坂井さんが演じた智美は、柄本佑さん扮する若き主人公・河田に「痛くない死とは?」という命題を突きつける重要な役どころでもありますよね。役作りにあたって、ご自身ではどのようにアプローチを?

坂井 長尾さんのご本はもちろん読ませていただきましたし、介護についてのビデオを観たりして、私なりに勉強もしましたが、やっぱりすごく難しかったです。本来は自分事として考えていなきゃいけないテーマではあるのに、実際に自分の身に起こってからでなければ、現実味はどこか薄い。お友達からそういった話を聞いたことはあっても、これまではどうしたって距離感もありましたしね。

――他人事ではないけど、いざ自分の身に置き換えてみると、肉親の死はとても重い。そこにリアリティを持たせる作業は、想像するだけでもかなり消耗しそうです。

坂井 ただ、いただいた脚本には長尾さんも当初から協力されていましたし、そこで描かれているエピソードは、実際に長尾さんが介護してきた娘さんから詳しく聞いたことでもある。2500人も看取ってきた長尾さんが常に現場で見ていてくださったのもすごく助かりましたね。

医療や介護については特に嘘が入っちゃうといけないですし、私としてもなるべく本当に近い状況のなかで演じたい。なので現場でも、「このシーンはこれで大丈夫ですか? こういった表現でいいですか?」というのを、逐一相談しながらやりました。


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