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UPDATE|2021/01/27

自伝的漫画『AV女優ちゃん』作者・峰なゆかが語る「女性だけでなく、男性の生きづらさにも興味がある」

峰なゆか



ーーAV業界を舞台にしているだけあって、女性の性の搾取の構造や、強引ともいえる契約をたてに基にAV出演を強要すされる「出演強要問題」にも切り込んでいるように感じます。単行本の巻末でも、フェミニストであり、女性学研究家の田嶋陽子さんと対談されていますね。

峰 そこまで問題提起をしたいわけじゃないんですけどね……。田嶋陽子さんとの対談で私自身のフェミニズムに対する考え方の、点と点がつながるような感覚は、確かにあったんですよ。でも、私自身はフェミニストではないし、そういう活動をするつもりはないんですよね。ただ、現代を生きる社会人のリテラシーとして、フェミニズムは理解しているし、そのいい部分も悪い部分も踏まえて表現していきたいとは思います。

ーーフェミニズムは社会人のリテラシー、というのは確かにそうですね。例えば、日常生活で女性を差別するのはよくないって、あたりまえのことだし、差別的な言動をしていたらバカだと思われて自分が損するだけですもんね。

峰 そういう意味では、女性だけでなく男性の生きづらさにも興味があります。私の兄が、チョコレートが好きでいつも買ってるんですけど、バレンタイン前の数週間は、自分で自分にチョコを買う人間だと思われたくなくて、あらかじめまとめ買いしておくっていう話を聞いたんですよ。なにそれって(笑)。男子にそんな重圧感があったのか! っていう。



ーー一種の自意識過剰ですよね。『AV女優ちゃん』のなかで、峰さんがイベントで生脱ぎパンツをオークションに出したところ、男性ファンがお互いに「ガツガツしてるとは思われたくない」という自意識が出てしまって誰も手を挙げないというエピソードが出てきますが、それと似ているかもしれません。

峰 そういう男性側の気持ちについては、これから掘り下げていきたい。例えばAV業界でいうと、すごく精子にこだわる監督がいるじゃないですか。「本物じゃなきゃ!」って、すごく情熱を注いでいるんですけど、今となっては「なぜ!?」と思う。

ーー確かに、観てる側からしたら、本当に本物の精子なのかは確かめる術がないですよね。


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