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UPDATE|2021/01/19

WACK 渡辺淳之介「NiziUが羨ましいと思う一方、だからこそ共存できているのかなとも」

渡辺淳之介氏 撮影/武田敏将

「今、音楽事務所で一番勢いがあるところは?」そう聞かれるとこの事務所の名前を上げる人も多いだろう。BiSH、BiS、豆柴の大群など7つの女性グループを擁するWACKだ。そのWACKを率いるのが音楽プロデューサーの渡辺淳之介氏だ。

“破天荒”“型破り”そんな言葉とともに語られることの多い渡辺氏に、このほど公開されたWACKの合宿オーディションを追った映画『らいか ろりん すとん -IDOL AUDiTiON-』と、現在のアイドルシーンについて聞いた。(2回連載の2回目)

【写真】精神と体力の限界を超える少女たち…映画場面カット

※インタビュー1「タレントビジネスは代わりがいない、厳しくしないと成功できない」はこちらから。

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――WACKの立ち上げ当初は追う立場でしたが、現在のアイドルシーンにおいては追われる立場になったと思います。

渡辺 いやー、どうなんですかね。僕たちは今でもインディーズというか、邪道だと思っているんです。どでかいシーンで言えば、AKB48グループ、坂道グループ、K-POPのアイドルがいて、地下に僕たちがいるイメージです。謙遜でもなんでもなく、そこにはどうしても勝てないと思います。と言いながらもWACKに所属している子たちの夢、BiSHでいえば東京ドーム公演などは、そういうところに並ばないと実現は難しいと思います。そこに行くための努力はしていますし、まだまだ追いかけている気持ちでやっています。

――一方でWACKを目標にしている運営も多いです。

渡辺 確かにTIFに出させていただくときに、若い運営さんから「WACKさんみたいになりたくてやってます」とか言っていただける機会が多くなりました。そういうことを言ってもらえるのは、すごくうれしいです。根本的な部分で、「何だ、俺でもできるじゃん」って思ってほしくてやっているところもあります。僕たちもお客さんが3人とか、そういうところから始めて、ここまで来られたのはラッキーだったなと思います。実際、やる気と根性さえあれば誰でも運営はできると思っているので、そう感じてもらえるものを作りたいなとは考えています。

――渡辺さんから見て、今のアイドルシーンはどう映っていますか。

渡辺 中間層と言われるところが非常に少ない状況になっていますよね。シーンはいろんな人たちがいて盛り上がっていくものなので、そこから上がっていくことが大切です。中間層がなくなったことで、僕たちはWACK内でグループを作って、WACKというシーンを作る形でやってきたんですけど、そうじゃないところからシーンが生まれてくるとうれしいですね。どうしても突き上げがないと、僕たちも上がれないですから。

――ここ数年、中間層のアイドルグループが数多く解散していますが、WACK内でもグループの解散や解体がめまぐるしく行われていますよね。

渡辺 みなさん僕のことを残酷と言いますけど(笑)。僕としてはお客さんの方が残酷だと思っています。お客さんは興味がなくなると、すぐに離れて行ってしまうので、僕たち的には、どうやってお客さんを引き付けていられるかに注力しなくてはいけなくて……。むやみやたらに解散を繰り返せばいいってことではないんですけど、彼女たちの未来もあるので、ずるずる続けるよりも辞めたほうがいいんじゃないかという判断もせざるをえないんですよね。
AUTHOR

猪口 貴裕


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