――どういう基準で合格、不合格を決めているのでしょうか?
渡辺 どれだけ向き合ってくれるかですね。WACKのオーディション合宿は、スタンリー・キューブリックの映画『フルメタル・ジャケット』みたいなところがあるんです。あの作品では、短期間で新人海兵隊員をソルジャーとして養成するブートキャンプが描かれていますけど、WACKのオーディション合宿もブートキャンプみたいなところがあって。合格した子はすぐにデビューするので、1週間で事務所の戦力となるように育成します。ある種、マッチングみたいな要素も強くあるので、そういうところも含めて、真剣に課題や自分に向き合ってくれるかどうか。単純に僕が一緒に仕事をしたいと思わせる可能性を感じさせてくれるかどうか。そこを軸に見ています。
――候補生によっては、すぐに自分に向き合う姿勢を出せないタイプもいますよね。
渡辺 そうですね。なので、1日目に落ちた子も4日目まで残っていたら可能性もあったかもしれないので、本当に理不尽ですが、運も味方にしないといけない世界なので仕方がないのかなと。
――昨今はパワハラ、モラハラなどの問題が深刻化して、コンプライアンスも厳しくなっていますが、それによって過酷なオーディション合宿がやりにくくなったと感じることはないですか?
渡辺 厳しくしないと成功できない世界だと思っていますし、言葉遣いが少し優しくなったぐらいで、あまり僕自身は変わってないです。僕たちがやっているタレントビジネスって、代わりのいないビジネスなんですよね。極端な話、『らいか ろりん すとん』でフィーチャーされているセントチヒロ・チッチの代わりは一人もいないですけど、僕がいなくなってもBiSHというグループは残りますからね。なのでオーディション合宿では厳しく接する以外に選択肢がないのかなと考えています。
――WACKのオーディション合宿は2016年から行われていますが、応募者に変化は感じますか?
渡辺 おかげさまでBiSHの活躍などもあって、応募者の幅も広がりました。分かりやすく言うと、以前は“WACKのアイドル”になりたくて来てた子たちが多かったんですけど、今は純粋にアイドルを目指している子が増えたのかなと。