「今、音楽事務所で一番勢いがあるところは?」そう聞かれるとこの事務所の名前を上げる人も多いだろう。BiSH、BiS、豆柴の大群など7つの女性グループを擁するWACKだ。そのWACKが年に一度開催している合宿オーディションを追った映画『らいか ろりん すとん -IDOL AUDiTiON-』が1月15日に公開された。
「絶対にアイドルになりたい」その夢を叶えるため、もがき、苦しみ、肉体と精神の限界を超えた少女たちの壮絶な一週間に肉薄したドキュメンタリー……監督を務めた岩淵弘樹氏とエリザベス宮地氏に撮影の裏側と、オーディションを通して感じたWACKの凄みについて聞いた。
【写真】肉体と精神の限界を超える少女たち…映画『らいか ろりん すとん』場面カット * * *
――エリザベス宮地監督からWACKの映像作品に関わるようになったきっかけを教えてください。宮地 WACKができる前ですが、2014年の旧BiS解散ライブのときに、カンパニー松尾さんたちが『劇場版BiSキャノンボール2014』(以下、『BiSキャノ』)という映画を撮ったんですけど、そのメイキングに呼んでいただいただいたんです。BiSのメンバーはカンパニー松尾さんを始め、他の監督さんが一人ずつ付いていましたが、僕は渡辺淳之介さん担当でした。
――渡辺さんの印象はいかがでしたか。宮地 噂レベルで“超破天荒”と聞いていたんですけど、そういうヤバさは一切感じなかったです。BiSの解散前日というのもあって、おそらく渡辺さんは寝てなかったと思うんですけど、ずーっと仕事をしている姿を撮っていましたね。その後、2016年のBiS合宿オーディションのときに、『BiSキャノ』チームを騙すようなドキュメンタリーを監督として撮ることになって。結果的に、その企画自体は上手くいかなかったんですけど、副産物的に生まれたSiSというグループのドキュメンタリー『WHO KiLLED IDOL ? –SiS消滅の詩–』で監督をしたのが、WACKになってから初めてのお仕事です。
――『BiSキャノ』に関わる前から、旧BiSのことは知っていたんですか?宮地 ずっとインディーズバンドのPVを撮っていたんですけど、「ヤバいアイドルがいる」という旧BiSの噂は聞いていました。アイドルという枠にとらわれないライブで、知り合いのバンドマンがやるようなライブハウスにも出ていたので、ずっと気にはなっていました。
――岩淵弘樹監督がWACKの映像作品に関わるようになったきっかけは?岩淵 2016年のBiSの合宿オーディションにカメラマンとして呼ばれたのが最初なんですけど、その前から渡辺さんとは交流があって飲みに行ったりしていました。翌年のWACKオーディション合宿にもカメラマンとして参加させていただいて、「WACK合同オーディション2018」から監督として映画を作らせていただいています。