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UPDATE|2021/01/09

えなこ所属事務所社長・よきゅーんに聞くコスプレ界「大切なのは人と熱、オタク文化への理解がないと成功しない」

撮影/佐賀章広


――だいぶシビアなものの捉え方ですね。

よきゅーん はい。一寸先は闇ですから。また、オタク文化への理解があまりない企業さんもよくいらっしゃるんですよね。時折、コミケに参入したい企業さんがとても多いという話を聞くんです。やはりあれだけお金が動く場所ですから、それは当然のことで。ただ、オタク文化への理解、オタクの気持ちがない企業さんは、軒並み成果が出せずにコミケから撤退していっているんですよ。

――いっちょかみほどオタクが嫌うものはないかもしれません。

よきゅーん そうそう! 私もいっちょかみが苦手なんです。なので私たちは義理と人情を絶対に忘れたくない、人と人とで繋がっていたいんですよ。それはうちのタレントはモチロン、雑誌編集者さん、案件をくださる企業さんもそうです。タレントの商品価値としては売れることが大切ですし、会社が大きくなり信頼度も上ればより、より多くの方のお役に立てるんじゃないかなとは思っています。ただ売れる・売れないだけを重視するのではなく、より面白いものを作っていきたいと、考えてくださる方が好きですね。私、ずっとこの仕事を続ける上で大切にしているのは、「一つひとつのお仕事を楽しむこと」。この“楽しむ”ことをやっていくことが絶対に成功に繋がると思っていて。「これはアツイ!」「これは面白い!!」と思って臨んだものって外の方にもその熱が伝わって同じ気持ちになってもらえると思うんです。

――楽しんでいる人のところには自然と人が集まってくる、というのは仕事の世界でもそうだと思います。

よきゅーん ですよね。たとえば私は未だに営業のかけかたがわからないため、基本お仕事は声かけしていただいてと言う流れなのですが、『少年チャンピオン』さんには「えなこをどうしても出したい!」と、営業したことがありまして。なぜかというと私たち、『弱虫ペダル』や『バキ』……と『週チャン』の漫画が好きすぎて、私たちも『週チャン』の売り上げに私たちも貢献したかったからなんですよ。

――完全なオタク目線ですね(笑)。

よきゅーん いかに『弱虫ペダル』が私の心の癒しになっているか、なぜ私たちがこの雑誌にかけているのか、と編集部にプレゼンしまして(笑)。私たちの仕事への原動力は「この好きな漫画が載っている雑誌に出たい!」という、オタクの妄想を実現させたいという気持ちだけです(笑)。

――「この媒体に載れば知名度が上がる」という意識とは全く遠い原動力ですね。

よきゅーん そうした「有名にしていくぞ!」という野望は二の次、三の次、それ以下で。最初にえなこを載せていただいた『ヤンジャン』さんも、『キングダム』や『東京喰種』といった錚々たる作品ばかりを掲載されていて。編集者さんが一目でえなこを気に入ってくださったのですが、ここでも担当さんとは「キングダムのここのシーンは本当に素晴らしくて!」というお話をしたりしています(笑)。弊社は飲み会みたいな事はないけど、このオタクトークで編集部の方とは大体仲良くなれるからとても健全です(笑)。

――ネット文化の発達により、様々なメディアの形が表れていますが、PPEが雑誌文化……特に漫画誌へ力を注いでいる理由は?

よきゅーん 私たちコスプレイヤー、もっというと私の事業は「版権コスプレ」がなければここまで生きてこれませんでした。その感謝を忘れたくないし、大好きな作品を世に出して下さっている出版社さんに恩返しがしたいという想いがあるんです。何か私たちが出ることでちょっとでも足しになるのであれば、微力ながらお力添えできればと思っているんです。
AUTHOR

田口 俊輔


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