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UPDATE|2020/12/19

美人書店員・河北栞歩が“救われた”児童書『いちご』は「大人こそ読むべき!」

河北栞歩

タレント活動の傍ら、本が好きすぎるゆえに、美人書店員としての顔を持つ河北栞歩がオススメの1冊を紹介する『月刊エンタメ』連載中の「河北栞歩 推しブックコンシェルジュ」より、倉橋燿子著『いちご』(講談社青い鳥文庫)をピックアップ。大人にこそササる純粋な子供たちの「声」とは。(毎週土曜日更新)

【写真】美人すぎる書店員・河北栞歩がおススメするのはこの1冊

▽あらすじ
小学5年になる水木一子は両親がキャンプ場を開くことになり、東京から甲州の山奥に引っ越す。彼女は全身に広がるアトピー性皮膚炎のせいで東京では「ぶつぶついちご」とからかわれていたが、転校した先の学校では「山ザル」と罵られてしまう。山での生活も上手く行かず、東京の時みたいな負けん気の強さも発揮できず、学校に行きたくなくなった矢先、いちごについて来てくれる捨て犬のゴローや、いちご家族と共にキャンプ村を作っているクマおじさんの息子の光くんに出会う。光くんは動物や植物とお話ができる不思議な少年で、そんな彼を誰も理解してくれず心を閉ざし学校に行かなくなった。いちごたちの命との対話がもたらす心に響く成長ストーリー。

     ※     ※    ※

私が人生で一番大切にしている小説で、読書が好きになったきっかけです。児童書ですし、もう電子書籍しか取り扱いがなかったので出そうか悩んだのですが、今回こちらのコラムを書くのにあたって読み直して「出すべきだ」と確信しました。

『いちご』に綴られている言葉はハッとさせられることが多く、大人になった今でも勇気づけられる、むしろ大人に読んでもらいたい小説です!

小学生当時、ニューヨークで暮らしていた私は、日本人コミュニティと現地校の人達と意見が度々食い違い、怒られ、何が正しいか分からず苦しんでいましたが、『いちご』に出会い、自分の力で考えて答えを出すということを学び取り、背中を強く押され励まされました。

物語の中で動物と話せる光くんは「動物や植物の言葉は分かるのに人間の言葉だけは分からない。きっと心が言葉と同じじゃないからだ」と言います。

本当に自分が好きなことは捨てなくても良い。素直に生きていきたいと、いまでも思います。嫌な自分も認めてしまうと案外ラクなんだ、きれいな心だけが全てじゃない、というメッセージも込められていると思います。倉橋燿子さんの書く本はどれも心をじんわり温めてくれて励まされます。

どんなにもみくちゃにされても今の私があるのは、いちごと光くんの背中を見てきたからですね!

▽かわきた・しほ
1994年生まれ、26歳。慶應義塾大学卒。タレント、書店員。
Twitter:@shiho_kawakita
Instagram:shiho_kawakita
Tiktok:@shihokawakita
CREDIT

文/河北栞歩 撮影/佐々木和隆


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