看板メニューの「デンジャーステーキ」はとにかく柔らかさと安さがウリだ。
これはハンギングテンダー(サガリ)と呼ばれる、比較的、安価で仕入れることができる部位を使うことでリーズナブルな価格で提供することが可能となっているのだが、実はこの部位、そのまま焼いてステーキにすることはできない。
なぜならば、筋などががっつりついているから。松永はその肉を手間暇かけて綺麗に下処理をし、他に類を見ないほど柔らかい「デンジャーステーキ」を開発した。
テーブルに運ばれてきたときには「えっ、こんなにたくさん食べられるかな?」と不安に思っても、その柔らかさに女性でもペロリと平らげることができ、多くのお客さんが「もっとたくさんの量をオーダーすればよかった」と思う。そういう人たちは「今度はそうしよう」とリピーターになってくれるわけで、そういう好循環が24年にも渡り、店を支えている。
「仕込みにはとにかく時間がかかるし、なによりも腕力がいるんですよ。もちろん肉をさばくテクニックも必要ですけど、腕力と体力がないと、まず1日分の肉を仕込むことも難しい。どんなに安く肉を仕入れることができても、こんなに手間と時間がかかるなら……とマネをしようとした人たちはみんなギブアップしてしまう。そこはもうプロレスラーをやっていてよかった、と思える部分ですよね」