女の子にいつまでも初々しくいてほしいと望む男性ってけっこういて、だからこそデビューしたてのAV女優は注目を集められたりもするのですが、人は自然に慣れたり学んだりしていく生き物だし、好みや表現も変化していくのが物の常というものです。
だけれど、何年経っても黒髪でパッツン前髪で、ボブカットの幼げな様子でいてほしいとか、「メイク薄目で、強めの服は着ないで」や「茶髪のロングヘアにしてほしい」など自分の好みを強く要望してくる人はいて、そういう願望と、自分らしさとの折り合いをつけるのに苦労した記憶があります。
ただデビュー当時は右も左もわからず、メーカーの人にもお客さんにもなるべく合わせようとしていたので辛かったです。服とか髪型とかって、自分の中でしっくりくるものだけを選んでいると、だんだん家の中にあるものと一緒で何を着ても調和するようになると思うんです。
でも、いろんな人の意見を聞いて、たとえばシンプルなもの、コンサバっぽいもの、ガーリーなもの……と言われたとおりの服も買っていると、何を着てもしっくりこなくなってしまうんです。そういう困った経験をしたことで、自分の中の好きって気持ちは素直に大事に持っていたほうがいいんだなと思いました。
AV女優になろうと決めた時、先のことは何も考えていませんでした。今も辞める時期は決めていません。需要がなくなってもしがみつくというのはちょっと違う気がするので、そう感じた時にやめるとは思います。AV女優という仕事に向いているわけではないのに、ラッキーが続いてここにいさせてもらっちゃっているようなところはあると思います。ただ、居場所があると思えるうちは続けようと思っています。
※連載3回目は4日(土)午前6時30分公開予定です。
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