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UPDATE|2019/11/10

道重さゆみ「黄金期はこれからまた私達が作るんだ」新生モーニング娘。誕生の瞬間

モーニング娘。年代記 第17回



知名度、歌唱力、パフォーマンススキルと、長年積み上げてきたはずの自信が次々にリセットされていくモーニング娘。たち。しかしそんな流れを、プロデューサーのつんく♂は「逆にガラッと変えられる」(※1)機会として前向きにとらえていたという。なぜならここ1年でグループに加入していた新人の9・10期メンバーに、つんく♂は今までと違う“新たな時代の手応え”を感じていたからだ。

「(ダンスが得意な)鞘師里保、石田亜佑美の加入が大きいのかな。あの子たちがかなり踊れることをどう生かすかを考えた」(つんく♂)(※2)

国民の中で高まっていたアイドルへの渇望と、グループに芽吹き始めた新しい可能性。その2つを接続するために、この2012年につんく♂が仕掛け始めたのが、グループの根幹である音楽面でのチャレンジだった。

2012年4月、モーニング娘。49枚目のシングルとしてリリースされた『恋愛ハンター』は、新たな王道として君臨しつつあったAKB48の直球アイドルソングと聴き比べると、かなり攻めた楽曲になっていた。なぜなら歌メロにサビというJ-POPの黄金パターンは守りつつ、つんく♂はそのアレンジに、海外で主流となっていたEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を、かなり大胆に採用したのである。

「音楽的にちょっと進化させてみて、世間の評判、見え方、表現の仕方を探った」(つんく♂)(※2)

ただこの『恋愛ハンター』での試みはファンの間でこそ大好評だったものの、結果として世間の関心を呼び戻すまでには至らず、反響は収束する。しかしこの“失敗”が、つんく♂に次曲への大事なヒントをもたらしていた。

「いくら新しい音楽であるEDMを試してみても、これまでとまったく変わらなかったんですね。で、もっと刺激を! と曲の作りから変えようと思った」(つんく♂)(※3)

そして『恋愛ハンター』の発表から約1カ月半、頼れる先輩だった新垣・光井の卒業ライブからはわずか8日後。道重さゆみ、田中れいな、譜久村聖、生田衣梨奈、鞘師里保、鈴木香音、飯窪春菜、石田亜佑美、佐藤優樹、工藤遥の計10人体制となったモーニング娘。は、満を持して新曲『One・Two・Three』をステージで初披露する。

AUTHOR

乗田 綾子


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