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UPDATE|2019/10/25

乳がんと闘う矢方美紀(元SKE48)「最初はがんになった自分を受け入れられなかった」[インタビュー]

矢方美紀 撮影/松山勇樹


──先ほどのトークショーでは脱毛やむくみ、ホットフラッシュについてお話をされていましたが、治療中、食事面に変化はありましたか?

矢方 乳がんは消化器系に関してダメージがないので、食べ物の制限はないんです。でも抗がん剤治療をすると、食べ物の味覚が変わったりしてしまうので、人によっては今まで食べられたものが食べられなくなったりもあります。あとはむくみやすくなってしまうので、少しでも食べると太っちゃうから食べないという人もいますね。

──矢方さんが実際に食べられなくなったものはありますか?

矢方 当時はコーヒーが飲めなかったですし、お肉はもってのほかで。あと味の濃い名古屋めしも食べても味がわからないんですよ。不味く感じてしまうんです。それまではカップ焼きそばもよく食べていたんですけど、ある日、家で食べたら美味しくなくて……それまで大好きだったので「え!?」って絶望しました。

──逆に食べたくなったのは?

矢方 かき氷やゼリー飲料のような冷たくて味も臭いも気にならないもの。あとはうどんとかですね。治療中はダイエットもできないので、なるべく食べないようにしていたんですけど、それでもむくむので太ったように見られるんです。それはストレスでしたね。

──闘病中のダイエットやおしゃれにはまだそれほどスポットライトが当てられていないのではないかと思います。トークショーでは医療用ウィッグとそれ以外のウィッグの作りの違いも話題になっていました。

矢方 そうですね。医療用以外のものはほとんどが化学繊維なんです。光沢も不自然なところがあって、裏のネットも化学繊維なので、肌にあたる部分がヒリヒリするんです。医療用ウィッグは人毛で作られていて、光沢も自然で夏の暑い日でもかぶれるよう通気性もよくなっています。治療をしている人はほぼ毎日使うので使い心地も考えられているんです。また、ウィッグも、人によって頭のサイズや顔の形が違うので、合う合わないがあって、付け方によってはウィッグだってすぐに分かってしまうんです。私は、抗がん剤を使っているからウィッグをしているんだって思われたくなくて、なるべく自毛に見えるような工夫をしていました。元々ファッションが好きだったので、今日の服装だったらロングのウィッグが似合うかなって日によって変えたりして。治療中、体調が優れなくて常にモチベーションがいいわけではなかったので、自分の好きなものを身に着けて、モチベーションを調整したところもあります。
AUTHOR

林 将勝


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