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UPDATE|2019/09/28

「つんく♂イズムはヤワじゃない」劔樹人が見る、変わり続けるハロー!プロジェクト

上段左からモーニング娘。'19、アンジュルム、Juice=Juice 下段左からこぶしファクトリー、つばきファクトリー、BEYOOOOONDS



──ハロプロ20周年ということで2018年は盛り上がりましたけど、考えてみたらこの21年で女性の社会的な立ち位置も大きく変わりましたからね。

劔 そう、確実に変わった。20年前に当たり前だった女性観だと、共感を集めないどころか総バッシングを浴びるでしょうね。

──サウンド的な面でいうと、つんく♂さんが総合プロデューサーから離れた後、何がどう変化したんでしょうか?

劔 僕が考えるつんく♂さんのすごみの1つは、唐突に誰も思いつかないようなことをされるところなんです。ところが2016年に『糸島Distance』(アンジュルム)が発表されると、僕は逆の意味で衝撃を受けたんですね。「逆」というのは「この曲、つんく♂作じゃないんだ!」という意味です(※作詞:Mari-Joe、作曲:星部ショウ)。「この時代にラテン歌謡!? しかも、それを博多弁でやっちゃうの!?」という突飛さに、僕は心の中でガッツポーズしました。「よし、つんく♂イズムは生き続けている!」って。

──今だったら、『幸せきょうりゅう音頭』(おどる▽11)みたいに珍妙な曲もつんく♂さんに頼らず作れるんじゃないかと。 ※▽の正式表記はハート

劔 そうそう(笑)。「和田彩花卒業ソングが『恋はアッチャアッチャ』(アンジュルム)!? なんでインドなの!?」といういい意味で空気を読まない感じが最高。そういったことも踏まえると、総じて制作陣はちゃんと同じ方向を向いていると思いますよ。

──ただ、これだけ制作陣が充実してきているのに、リリースのスパンが空くようになってきていますよね。Berryz工房や℃-uteが活躍していたときは、毎年アルバムを出して全国ツアーをやるというのがルーティーンになっていましたが。

劔 あっ、そこは別の問題じゃないかな……。それはアイドルだけじゃなく、音楽業界全体が抱えている問題の方の。CDが売れない時代に入り、「じゃあ、どうする?」っていう話になった。トップアーティストですらシングルを配信だけに絞ったりしている中、まだ誰も現時点では明確な答えが見つけられていないんです。このビジネスモデルの構造上の問題は、何か強烈なイノベーションが起こらない限りは変わらないんじゃないかな。アイドルに絞っていうと、特典として握手券をつけ、リリイベを行いながら丁寧にシングルを売るというのが、とりあえず今のところは正解だとされている。しかも、ハロプロ内でこれだけ多くなったグループのリリースタイミングはズラさなくてはいけないですからね。そうすると、なかなかシングルを連発するというわけにはいかないのかもしれない。

AUTHOR

小野田 衛


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