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UPDATE|2019/09/02

乃木坂46が「真夏の全国ツアー」で見せた新たな挑戦と、桜井玲香卒業を考察する

乃木坂46真夏の全国ツアー2019ファイナル(9月1日/明治神宮野球場)


“融合”ブロックの3曲目『不等号』のセンターは齋藤飛鳥。オリジナルのセンター・中元日芽香と齋藤飛鳥は仲が良く(本人たちは「ビジネス」と主張)、“格差社会コンビ”として知られていた。初期こそタイプが違うため仲良くなれると思わなかった2人だが、ともに選抜入りした7枚目シングル『バレッタ』の期間に「どこか似てる」と距離が縮まり、あえてネガティブな話をして気持ちを落ち着かせる仲になった。

中元が11枚目のアンダー曲『君は僕と会わない方がよかったのかな』のセンターになった時は、アンダーライブを観て“覚悟”を感じた齋藤飛鳥が中元に長文のメールを送った。

舞台『じょしらく』で同じチームになった時は、齋藤飛鳥が中元にだけ葛藤を語ったこともある。2016年、全国ツアーを選抜のセンターとして走り抜けた飛鳥は、「ひめたんとか(北野)日奈子とか、私の気持ちを分かってくれているんだろうなという子が選抜にいる事実は安心感につながりました」と語っている(『TopYell』16年11月号)。

ちなみに、齋藤飛鳥が初センターになった『裸足でSummer』の選抜ポジションで、齋藤飛鳥と中元日芽香と北野日奈子がトライアングルポジションになったことを、北野は「夏の大三角形」と呼んだ。

いまはアイドルと別の道を歩んでいる中元だが、曲は残り続ける。齋藤飛鳥は『不等号』に新しい命を吹き込んだ。過去を語ることは野暮なことかもしれないが、過去の積み重ねによって「いま」はできている。齋藤飛鳥はライブパフォーマンスでその連なりを表現してみせた。

(9月1日の神宮球場では、中村麗乃の髪型に中元を思い出したファンも多かったかもしれない)

本編最後のブロックは、齋藤飛鳥のドラムを起点として生バンドをバックにメンバーたちがパフォーマンス。過去にストリングスによる演奏や、乃木團と歌ったこともあったが、生バンドは初めての試みだ。

注目は2曲目の『スカイダイビング』。17年の夏曲(3rdアルバム『生まれてから初めて見た夢 』収録)なので披露する必然性はあるのだが、それ以上に生バンドのブロックで披露する意味があった。作曲した菅井達司氏によると、『スカイダイビング』は前田敦子のソロライブ(2014年4月3日/Zepp Tokyo)を観てインスピレーションを受けて書いたという。そのライブは生バンドで行われていた。

アイドルとバンドの融合に刺激を作られた“乃木坂らしさ”がない曲だからこそ、メンバーたちも伸び伸びとパフォーマンスしていた。結成から9年近く経って、乃木坂46の新しい可能性が生まれたのだ。『スカイダイビング』では、花道を並んで駆ける桜井玲香、秋元真夏、松村沙友理の姿が印象的だった。

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