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UPDATE|2019/09/23

「笑顔と元気」2011年のモーニング娘。が見つけた自分たちの真価

モーニング娘。年代記 第15回



3月11日の本震発生後、ずっと報道特別番組を流し続けていたテレビは3月15日頃から段階的に通常番組の放送を再開していくのだが、その流れの中で3月18日夜に放送されたのが『池上彰くんに教えたい10のニュース』(日本テレビ系)であり、道重は同番組にゲストとして出演していた。

ひとたび番組が始まると、道重のブログには久しぶりに動く道重を見たファンからのコメントが次々投稿されていき、その数は最終的に500件を越える。

「さゆの存在が心を落ち着かせてくれてます」「やっぱり笑顔を見ると元気でるよ」(※3)

そしてそれらのメッセージに目を通した道重は、一晩様々な思いを巡らせた後、改めてこう綴るのである。

「私は昨日のブログに『何もできないのが本当に悔しい』とかきましたが、違いました。(中略)さゆみの元気な姿で少しでもみなさんへ元気を与えられるならば、そんな嬉しいことはありません。そして私はモーニング娘。です。モーニング娘。として歌を歌い、みなさんへ届けたいです。本当にそう思います。元気や勇気や愛を伝えたい」(道重さゆみ)(※4)

日本に生きる誰もが受け止めきれない現実に苦しみながら、生きる意味をずっと自分に問い続けていた2011年3月。それはモーニング娘。と呼ばれる彼女たちもまた、同じ自問自答の中にあり続けた毎日だったのだ。そしてアイドルとして活動していた彼女たちは改めて、自分たちのすべきことは何かを一から見つめ直していく。

「元気」「笑顔」。やがてメンバーのブログにそんな言葉が頻出するようになっていった3月末、モーニング娘。はついに止まったままの全国ツアーを再始動させることを発表した。

4月3日、結果的に震災後の初開催となった、大宮ソニックシティでのライブ。そこにあったのはファンの誰もが想像できていなかった、全く新しいモーニング娘。の始まりだった。1曲目のイントロでメンバーは声高らかに宣言する。

「新生モーニング娘。いきます!」(道重さゆみ)

AUTHOR

乗田 綾子


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