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UPDATE|2019/07/28

ももクロ・佐々木彩夏の驚くべきインタビュー力「メディアではなく、その先にいる読者に向けて」

『ももクロ青春録』(朝日新聞出版)


ちなみに『OVERTURE 019』では、佐々木彩夏は表紙と巻頭を飾っているが、次のページをめくれば、さまざまなアイドルたちが登場することもわかっている。もしかしたら、そういうアイドルのファンが、巻頭に掲載されるインタビューを読んでくれるかもしれない。そこを意識したからこそ、インタビューの核はかなり広い視野で見た『アイドル論』が展開されたのだと思う(こちらから内容を指定したわけではない)。

もっとも、この日の撮影はとても穏やかなムードで進み、空き時間やメイク中にもアイドルの話で盛りあがっていたので、多少、温まっていた部分はあったのだが、なるほど、ソロコンサートで横浜アリーナをフルハウスにしてしまうアイドルはここまで深いことを考えているんだな、ということがよくわかる内容となった。まだ読んでいない、という方はぜひ、この機会に目を通していただければ幸いだ。

もともと「インタビュー力」は非常に高かった佐々木彩夏だが、特にこの1年間でその力が大きく伸びたような気がする。そのあたりは8月7日に出版される『ももクロ青春録』(朝日新聞出版・刊)でも触れているのだが、彼女だけでなく、メンバーそれぞれが目に見えない部分で、もはや1年前とは別人といっても過言ではないほど成長を遂げている。

僕は毎年夏に、前年6月からの1年間の彼女たちの活動をライブ中心にまとめた本を出している。今回の『ももクロ青春録』でシリーズ6冊目となるのだが、今回は大きな軸として『ミュージカル』『47都道府県ツアー完全踏破』『セルフタイトルアルバム』の3本を立てて、それを中心に深掘りしていくスタイルをとった。

近年の本ではステージで起きたことよりも、リハーサルやバックステージでの出来事やメンバーの言葉にスポットを当ててきた(映像化されているライブに関しては、そちらを見てもらったほうが絶対にいいので)。今回はその傾向をさらに強くしたのだが、それでも完全に描ききれないな、と思ったので、この3本の軸に深く携わってきた関係者の方に「証言」をいただき、しっかりとページをとって掲載させていただいた。

インサイドレポートを長年、書かせていただいている僕ではあるけれども、すべてを見ているわけではない。そこで準備段階からがっつり関わっているスタッフからの証言を掲載することで、この1年間の活動をより深く、立体的に描写できるのではないか、という思いから提案した構成だが、結果、その狙いは当たったと思っている。なぜ、この1年間でメンバーの内面が飛躍的に成長したのか? この本を最初から読んでいただければ、ご理解いただけるんじゃないか、と思う。
AUTHOR

小島 和宏


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