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UPDATE|2019/07/14

松村香織&大木亜希子 AKB48グループOG初対談「AKB48のセカンドキャリアを考える」

左から松村香織(元SKE48)、大木亜希子(元SDN48) 撮影/松山勇樹


──SKE48にいて恋愛が制限されることのストレスはなかったんですか。

松村 それはなかったです。私の場合が特殊なのかもしれませんが、普通に地元の男友達に誘われたら飲みに行ってましたし(笑)。恋愛感情があるわけじゃないですから、たとえ、その姿を週刊誌に撮られても、「飲みに行って何が悪いの?」って、そこに対してコソコソすることもなかったですからね。まあ自分自身のキャラに助けられていた部分もありますけど。

大木 私のいたSDN48はお姉さんもいる、既婚者もいるグループだったのでSKE48とは環境が違います。私は25歳でアイドルを辞めて転職しましたけど、29歳までアイドルを続けていた松村さんと、会社員になった私が、ほぼ同じようなことを経験して、同じようなことを考えていたのは新しい発見です。私も会社で信頼性ができて、上司とも後輩とも良い関係で、でも転職しようと思ったんです。なので共感する部分は多いです。

──大木さんはアイドルを卒業して働きながら「アイドルという名の十字架」を感じたと著書で綴っていますが、書評によると松村さんはあまり感じていないそうですね。

松村 競馬のイベントなどで「元SKE48って書いていいですか?」って聞かれるんです。クライアント側も何もないよりかは肩書きが欲しいんだって分かるし、今は卒業したばかりだから、「どうぞ使ってください!」ぐらいの気持ちです。ただ、それが嫌になって1人の人間として認めてほしいみたいな時期が、きっとくるのかなとも思います。

大木 松村さんは2013年にSKE48終身名誉研究生に就任されるなど、グループを知り尽くし、楽しみ尽くしたと思うんです。でも私はSDN48の2年半、選抜にも入れなかったし、センター争いも無縁だったし、常に客観的な立ち位置で2年半を過ごしたので、SDN48にお邪魔していたって感覚がどこかにあるんです。アイドルを経験させてもらったけど、自分のアイデンティティはどこにあるんだろうって。それから会社員になったけど、「元アイドルなんだね」って言われることも多かったし、ライターとして元アイドルの視点で仕事を取ってこれたこともあったんです。それは、めちゃくちゃうれしかったし、会社にも貢献できたと思う反面、「元アイドルって今の職業ではないしな……」という気持ちもあって。周囲は優しかったんですけど、勝手に私が邪推しちゃって悩んでたんです。SDN48という屋号がデカすぎて、持て余していました。それも『アイドル、やめました。』の取材を通して成仏していったので、今はネガティブな気持ちはないですけどね。

──松村さんはフリーになることへのプレッシャーはなかったんですか。

松村 プレッシャーよりも1回やってみようって気持ちのほうが強かったですね。そこまでプライドも高くないので、本当に食うに困ったら偉い人に頭を下げようと(笑)。

大木 素晴らしい!

松村 フリーになるときも、「事務所に入らないか」って言ってくださる方もいたんです。でも1回フリーでやりたいので、困ったときに連絡しますって。グループを卒業して思うのは、SKE48という肩書きは大きいし、グループにいたからできる仕事も多いけど、握手会があったり、他のグループとの競合があったりで、できない仕事もたくさんあるんです。事務所が守ってくれてるからこそ、できないお仕事もあるかもしれないじゃないですか。いろんな顔色を窺うのも面倒くさいし、フリーになると明らかな競合以外に障害はないし。いろいろ気にするのが嫌だったんですよね。
AUTHOR

猪口 貴裕


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