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UPDATE|2023/05/28

なぜ? 芸人のエッセイ本が人気の理由を『全力!脱力タイムズ』放送作家が分析

(左から)『一旦書かせて頂きます』(オズワルド伊藤俊介著)、『どうやら僕の日常生活はまちがっている』(ハライチ岩井勇気著)、『僕の心臓は右にある』(チャンス大城著)

近年、芸人が執筆したエッセイ本がリリースされるケースが少なくない。全国ネットの冠番組を持つ芸人に限らず、知名度が決して高いとは言えない芸人のものもあり、“芸人のエッセイ本”というジャンルの人気の高さが伺える。なぜここまで芸人のエッセイ本は注目されているのだろうか。『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)や『有吉ぃぃeeeee!~そうだ!今からお前んチでゲームしない?』(テレビ東京系)など、放送作家として数多くのバラエティ番組の制作に携わっているカツオさんは、この傾向の要因として「まず芸人との“接着面”が増えたことが大きいです」と分析する。

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「以前はテレビ番組とお笑いライブくらいしか芸人を見る機会はありませんでした。最近はYouTubeやTikTokで気軽かつ自発的に芸人に触れらえるようになり、“推し”を見つけやすくなりました。加えて、radikoやstand.fmなどラジオアプリの普及によって、ラジオで推しの芸人をより深く知ることができ、どんどん“沼ってしまう”人が増え、『エッセイ本も読んでみたい』という需要が高まったのではないでしょうか」

SNSや動画コンテンツ、ラジオコンテンツなど、環境面が整備され、芸人を身近に感じられるようになったことが背景にあるという。しかし、カツオさんは「“環境面の充実”もそうですが、コロナ禍にも目を向ける必要があります」と続ける。

「コロナ禍以前は『YouTubeを始めるタイミングがわからない』という芸人が多かったと思います。しかし、コロナ禍をキッカケにYouTubeチャンネルを開設する芸人は急増しました。それまでは、『YouTubeなんて…』と思われてましたが、実はYouTubeに興味あった芸人さんは多かったのではないでしょうか。一気に増えましたよね。

コロナ禍が芸人達にもたらせたのはYouTubeブームだけではない。投げ銭をもらえる文章投稿のプラットフォーム“note”ブームも巻き起こし、このことが芸人のエッセイ本を本格的に加速されたと説明する。

「コロナ禍で新たな収入を得るためにnoteに投稿して投げ銭をもらおうとする芸人は増えました。YouTubeにも共通しますが、“何か新しいものを生み出す”ということは芸人の得意分野。また、ネタの台本を書くことも日課ですので、文章と芸人は親和性が高い。noteがキッカケで文才が見つかった芸人は多く、そこから雑誌やウェブメディアでのコラム連載の依頼を受け、適度にコラムが貯まった段階で書籍出版につながる、というケースは珍しくありません。これらのことから、今日の芸人エッセイ本ブームが巻き起こったのではないでしょうか」

芸人が書く文章に一般人だけでなく出版社も惹きつけられ、そして「もっとその芸人を知りたい」というニーズの高まりも重なり、芸人のエッセイ本が人気を博す要因となったようだ。
AUTHOR

望月 悠木


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