現にこの年の終わりに、モーニング娘。はNHK紅白歌合戦への出場を逃している。2008年のモーニング娘。は事実として、ついに劣勢を跳ね返すほどの実力は発揮できなかったのである。
ただ、その逆風の中でもモーニング娘。はファンの暖かな眼差しに支えられ、その中で今後の自分たちにとって一番大事なものを見つけ始めていた。それは世間の評価の変遷とともにいつしか失いかけていた、自分を奮い立たせる「自信」だった。
「(ファンは)自分が任されたことをしっかりやっていれば、皆見てくれるし、ついてきてくれる」(亀井絵里)(※2)
だからこそ彼女たちのこの静かな1年は後で意味を持ち、歴史を大きく変える変革のトリガーとして、その1日1日が機能していくことになったのだ。
歴史はやはり時としてすぐに動きはしない。しかしそこで諦めなかった者だけが次の時代を作り出すチャンスを得る。そのことを、日本のモーニング娘。は明快な言葉の代わりに、自らの成長をもってして、変わる歴史の中へ確実に刻んでいくことになるのである。