「栃木県生まれの眉毛ガール」井上咲楽の政治家対談、今回は第95代内閣総理大臣の野田佳彦衆議院議員。政治に興味・関心の強いイノサクさんも、首相経験者にお会いするのは初めて。なかなか聞けない首相時代のプライベートから伝説の13時間演説のことまで聞いた。
井上 私、内閣総理大臣を経験した方とお話するのは初めてで、聞きたいことがたくさんありすぎて困っています!
野田 ハハハ、何でもどうぞ。
井上 まず、新聞には必ず「首相動静」という総理の1日のスケジュールを書く欄がありますよね。
野田 そうですね。総理大臣は公人中の公人ですからね。
井上 すべての行動が筒抜け状態で、私だったら絶対ストレスになると思うんですけど……。
野田 やむを得ないと納得しつつ、でも、実際には首相動静に出ないこともいっぱいあるんですよね。
井上 そうなんですか!?
野田 例えば、表向きのスケジュールはホテルでの会食。でも、隣の部屋で要人と打ち合わせとか、公邸に戻って休憩のはずが人を呼んで会っているとか。どれも公務ですが。
井上 寝る時間はありましたか?
野田 寝ないと疲れが溜まりますから、なるべく5時間は寝ていましたよ(笑)。ただ、1日丸々休みということはまずなかったですね。
井上 総理大臣になってから初めて感じるプレッシャーなどはありましたか?
野田 はい。野党のとき、財務大臣のときには感じなかった感覚がありましたね。総理大臣は、1億2000万人超の国民の生活がかかっている幾多の政策の最終決断を下す立場です。しかも、総理大臣の後ろには誰もいません。相談相手もさらなる責任者もいない。その状況は、やはり一際緊張感があるものです。
井上 見える風景も変わってくるものですか?
野田 総理大臣になると、移動にはいつも警備の車が5台くらい一緒についてきます。交差点の信号も優先的に青に変わりますから、基本的にノンストップです。それでも渋滞にハマり、ターミナル駅前のスクランブル交差点で止まることがあります。すると、道行く人の顔が見えるわけですよ。信号待ちをしているサラリーマンが暗い顔をしていると「景気が悪くて苦労しているのかな……。僕のせいかな」と思うわけです。買い物袋を片手に足早に歩く女性を見ると「家計のやりくり大変なのかな……。僕のせいかな」と想像してしまう。もしかしたら2人ともパートナーとケンカした直後だっただけかもしれないけど、街のいろんな人の顔が気になりました。それは総理大臣になる前はなかったことで、不思議な感覚でしたね。