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UPDATE|2023/03/16

横山裕の演技も話題に、『舞いあがれ!』制作統括に聞く「兄・悠人の失敗と再生」

連続テレビ小説『舞いあがれ!』より NHK提供

現在放送中の朝ドラ『舞いあがれ!』の時代設定は、久々に現代ド真ん中。リーマンショックなど、多くの人の記憶にも新しい出来事を鮮やかに描いているのも大きな特徴だ。そのひとつが、福原遥演じるヒロイン・舞の兄である悠人。横山裕演じる悠人は、投資家として大成功を収めてリーマンショックを乗り切るものの、その後インサイダー取引に手を出して転落。その過程でこじれていた家族との関係を見つめ直す。影があってやや屈折した悠人のキャラクターを演じた横山裕の演技も話題を呼んだ。悠人というキャラクターには、どのような意味を持たせたのだろうか。『舞いあがれ!』制作統括の熊野律時チーフプロデューサーに聞いた。

【写真】横山裕演じる悠人の失敗と再生『舞いあがれ!』場面写真【5点】

「悠人ってなかなか難しいキャラクターだと思うんですよ。特に家族に対して、素直に思っていることを言えないんですよね。家族を大事には思っているし心配もしているんだけど、言い方だよねえって(笑)。ただ、本人は誤解されやすいけど、自分なりの考え方を持っていて、地道な努力も積み重ねてきている。そのバランスって結構難しいと思うんですけど、横山さんは本当に的確に演じてくださった。

横山さんのお芝居が上手というのはもちろん存じ上げていましたし、さらに大阪ことばのネイティブということもあって、横山さんにしかできないお芝居をしていただきました」

会話の中のちょっとした呼吸の間や舞にかける言葉のニュアンスなど、大阪ことばのネイティブだからこそ出せるものでもあったのだ。

そして悠人といえば、リーマンショックで経営の傾いた実家の工場「IWAKURA」の再建にあたっての振る舞いだ。父の浩人(高橋克典)が亡くなったあと、工場をたたむことをめぐみ(永作博美)と舞に提案する。しかし、ふたりはその選択をせず、工場を続けることを決断。悠人もそれを支えることになった。

「傾いている工場をたたんでマンションに変えちゃって、家賃収入で生活していくという提案は実はかなり優しいんですよね。なんでわざわざ苦労して工場を続けるの?という、息子としての思いが出ている。売っちゃったほうが、リスクは低いわけですから。

でも、めぐみは辛いことがあっても工場を続けたい。従業員の思いも捨てられない。お父さんが亡くなって厳しい状況だけど、続けたいというジレンマがあった。悠人はそこで最後はめぐみや舞の思いを汲むわけですが、根底にあるのはやっぱり家族を大事に思う気持ちなんですよね。悠人はそういう人だということをちゃんと描きたかった」


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