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UPDATE|2023/01/07

【何観る週末シネマ】オペラ名作『アイーダ』、オペラ界の異端児が舞台を現代に置き換え大胆アレンジ

『アイーダ』(C)Gavin Smart

この週末、何を観よう……。今週公開の作品の中から、映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、1月6日(金)より公開されている、オペラ界の異端児ロバート・カーセンによって生まれ変わった全く新しい『アイーダ』。気になった方はぜひ劇場へ。

【写真】舞台を現代に置き換えたオペラの名作『アイーダ』

〇ストーリー
舞台は古代エジプト(この演出版では現代の架空の国)。エチオピアへの出陣を前にして将軍に選ばれたラダメスは、祖国に勝利をもたらすことができれば愛するアイーダ(奴隷の身だが実はエチオピア王女)と結ばれる夢がかなうと期待に胸を膨らませる。だが王女アムネリスもラダメスを愛しており、彼とアイーダの仲を疑っていた。勝利したエジプト軍が凱旋すると、捕虜の中にはアイーダの父アモナズロが。アイーダは父の命令でラダメスから密かにエジプト軍の情報を得るが、それが発覚しラダメスは逮捕され、死刑の判決が下される…。

〇おすすめポイント
12月からスタートした『英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズン 2022/23』。劇場に行かなくても一流のオペラやバレエを楽しむことができることから人気の高いシリーズが今年も開幕。

すでに『蝶々夫人』や『うたかたの恋 -マイヤリング-』などの名作が並ぶなかで、第3弾を飾るのは、ディズニーによってブロードウェイ・ミュージカルにもなり、日本でも劇団四季によって公演、ビヨンセ主演で映画化の企画もあった、ジュゼッペ・ヴェルディの古典オペラ『アイーダ』

オペラ版『アイーダ』は今までにも、ライブビューイング等で公開されたこともあり、初めてというわけではないが、今回の『アイーダ』は従来の作品とは大きく異なっている。

古代エジプトとエチオピアの物語ではなく、現代に置き換えられた、全くの新バージョン。特定の国ではなく、アメリカや中国、ロシアといった、現代のいくつか国の要素を詰め込んだ架空の国が舞台となっており、『アイーダ』でありながら、『アイーダ』ではない。

そんな大胆なアレンジを加えたのは、ジャン=フィリップ・ラモーの1745年に初演され、今も公演し続けるギリシャ神話を下敷きとした喜劇『プラテー』も大胆演出によって、パリのオートクチュールのファッション界が舞台の作品に変換したことでも知られる、オペラ界の異端児ロバート・カーセン。

オリジナル版は大切にしつつも、独自の世界観を演出し、そこに現代的要素を盛り込む、まさにロバート・カーセンの真骨頂といったところ。

そんな2022年の新バージョンをいち早く観ることができるというのは貴重過ぎる体験でしはないだろうか。

また第4弾には、映画化もされたミュージカル『レント』の下敷きにもなったプッチーニの『ラ・ボエーム』も1月20日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋 ほか全国公開。他にも『セビリアの理髪師』や『ダイヤモンド・セレブレーション』などの名作オペラやバレエが待機している。

〇作品情報
【音楽】:ジュゼッペ・ヴェルディ
【台本】:アントニオ・ギスランツォーニ(オーギュスト・マリエットのシナリオを元に)
【指揮】:アントニオ・パッパーノ
【演出】:ロバート・カーセン
【美術】:ミリアム・ブーター
【衣裳】:アンマリー・ウッズ
【照明】:ロバート・カーセン、ペーター・ファン・プラート
【振付】:レベッカ・ハウエル
【映像デザイン】:ダンカン・マクリーン
ロイヤル・オペラ合唱団(合唱指揮:ウィリアム・スポールディング)
【出演】エレナ・スティヒナ、フランチェスコ・メーリ、アグニエツカ・レーリス、リュドヴィク・テジエ、ソロマン・ハワード、シム・インスンほか
公式サイト http://tohotowa.co.jp/roh/
1月6日(金)よりTOHOシネマズ 日本橋 ほか全国公開

(C)Gavin Smart

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