──どういった話題で盛り上がるんですか?
爪 お互いの恋愛の話ですね。本当にプライベートな話。かっこつけず、恥ずかしがらずに何でも言えるというか。自分のほうがちょっとダメだったなってことでも、脚色することもなく言える。
鳥飼 爪さんはプロレスの試合の解説者みたいな役割なんですよ。痴話ケンカした話をしても、「この試合は、こっちが面白かった」とかジャッジしてくれる人。
爪 鳥飼って、恋愛の話をする時に、ええかっこせずに冷静に「相手方のほうが正しかったんちゃうかな」って意見もありきで、全部を話してくれるんです。だから全体図が見えやすい。それに対して僕は「これはこうしたほうがよかったんじゃないかな」って公平な立場で解説するっていうか。
鳥飼 愚痴を聞いてもらって「わたしの味方をしてよね」ってことは最初から期待してない。「面白い話にできたか」ってことしかお互い、念頭にないんです。でも、深刻になりすぎると、本当の答えって見えなくなるから、面白い話になっているかを判断してくれて、ふたりで爆笑できるのがいい。
──いまっておふたりは、すごく素敵な関係にあると思うのですが、お互いに男女として惹かれたことは、ないですか?
爪 笑顔も可愛いし、鳥飼は非常に魅力的な女性だと思いますけど、友達になりましたからね。だから、今さらそういう目で見ることがあったら、それはどちらかの精神状態がよろしくない時だと思います。
鳥飼 もし、このふたりの間がそういうことになるとしたら、それは均衡が崩れた状態っていう爪さんの言っていることはすごく理解できる。「私たちは、作家同士、プライドをどっちも持っている状態で仲良くしてるんだ」って思っているから。そうなるとしたら「作家を辞めます」っていうくらいの崩れっぷりだろうなって思うと、まぁないだろうなって。
爪 そうかもね。鳥飼がどれだけ落ち込んでても、そこの弱みに付け込むっていうのはなかったと思うし。
鳥飼 そもそも、わたしが落ち込んでいるのを、爪さんは弱みって思ってないよね。面白いことになってきたって、見てる。だから、この間離婚した時も、頑張れたっていうか、しょぼい感じにならずに済んだんです。どちらが被害者かとか、可哀想なわたしってふうに捉えないで、「それなりに面白かったよね。結婚は終わったけど、また別の人生に生きよう」って。