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UPDATE|2019/02/17

モーニング娘。が救った「安室奈美恵になれなかった少女たち」



増員発表からわずか2カ月半後の1998年5月。8人となったモーニング娘。のセカンドシングル『サマーナイトタウン』はオリコン初登場4位と前作から順位を上げただけでなく、以降も売上を伸ばし続けて累計売上41万枚という異例のロングヒットを達成した。

つんく♂曰く『モーニングコーヒー』は安室奈美恵や同系のSPEED、MAXといった歌って踊れる女性アーティストの隙間を意識したアイドルもので、直後にその路線を思いっきり切り返したのが『サマーナイトタウン』だったという。 女の情念がこれでもかとたっぷりこもった同曲のコンセプトは、〝笑わない8人の山口百恵〟。

そしてこの思い切った路線変更をきっかけとして、モーニング娘。は今までとは全く違うファン層を獲得することになる。

「お客さんに女の子がパッと増えたんですよね」「女の子たちが、〝あ、この子たちにだったらなれそう〟みたいに」(つんく♂)

太陽のように輝く安室奈美恵の日陰にはいつも、バーバリーのスカートが全然似合わない女たちがいた。しかし『サマーナイトタウン』はそんな90 年代後半の暗くて蒼い諦念を、等身大で歌える平成のアイドル歌謡として見事に救済するのである。

モーニング娘。2ndシングル『サマーナイトタウン』
(1998年5月27日発売)
AUTHOR

乗田 綾子


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