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UPDATE|2022/08/26

九死に一生を得たDJ KOOが激白「不健康なミュージシャンなんて時代遅れ」

DJ KOO 撮影/荻原大志



──病気を機に、そこまで前向きになれることが驚異的です。

KOO 今思うと、そこはやっぱり家族の存在も大きかったです。リアルに死の寸前まで行ったから、そうなると自分の一番見せたくない姿……苦しんで弱り切っている姿を家族は目撃することになるわけじゃないですか。ウォーキングもままならなかったし、口を開くことも満足にできなかった。リハビリ中は何度も「もうダメかもしれない」と考えましたし。

──そこまでキツい過程があったんですね。

KOO それでもなお家族同士で支え合って、お互いのプライベートや仕事のことも一丸となって取り組んでいこうという絆。それはたとえば娘の受験もそうでしたしね。「自分は1人じゃないんだ」という事実が何よりの励みになりました。綺麗事みたいに思うかもしれないけど、今の僕はその綺麗事をストレートに伝えていきたいんですよ。

──最近はヘルシーな生活を心掛けるミュージシャンも多いですが、昔は不健康な方も多かったですよね。例えば、昼夜逆転生活を送ったりして。

KOO 僕も若い頃はめちゃくちゃな毎日を送っていました。深夜とか明け方に帰宅すると、オムライスとプリン食ってから寝る。次の日に起きたら、とりあえずピザを注文する……みたいな(笑)。無頼派が良しとされるというか、健康のことをチマチマ考えることがダサいという風潮がたしかに昔はあったんですよ。でもね、「検査? そんなの知らねぇよ。DJなんだから夜通しウェーイって騒いでればいいんだよ」みたいな考えはもはや時代遅れ。はっきり言って、カッコ悪いです。

──ヒップホップなどは特に顕著ですが、音楽とアウトロー文化が密接に結びついているケースもあります。

KOO ヒップホップだろうがクラブミュージックだろうが、結局、健康じゃないと何もできないですよ。荒くれ者のパンクスがイキがってバーのグラスで手をケガしたら、それだけでギターも弾けなくなりますから。当たり前の話だけど、自分で最高のパフォーマンスを出そうと思ったら不健康じゃ話にならない。これはエンターテインメントだけじゃなくて、あらゆる仕事に通じる話じゃないですか。仕事ができる人って、よく観察すると自分の身体に気を遣っていることが多いですよ。ましてや自覚がまったくないサイレントキラーと呼ばれる症状なんて、検査しないことには対策すらできないわけですし。だからこそ、普段から意識を高く持っていないとダメなんです。

AUTHOR

小野田 衛


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