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UPDATE|2022/06/13

「配合変化」空手家から看護師、女優へ…長野じゅりあが語るひとつに絞らない生き方

撮影/松山勇樹

脳外科の看護師として働きながらTikTokのフォロワーは90万人。5歳から始めた空手では世界一になったことも。アクション女優、タレントとしても活躍する“四刀流”長野じゅりあが、今度はプロレスラーとしてリングデビューを果たした。「自分に妥協することが許せない」と言い放つド根性の持ち主だけに、その突貫ファイトは壮絶そのもの。なぜ彼女はプロレスデビューに至ったのか。その波乱に満ちたこれまでの半生を振り返りつつ、今後の目標を熱く語ってもらった。(前中後編の中編)

【写真】プロレスコスチュームで見事なハイキックを見せる長野じゅりあ、ほか撮り下ろしカット【13点】

──空手のことしか頭になかった少女時代の長野選手。医療や女優の道に進んだのは、どういうきっかけだったんですか?

長野 うちは母親が看護師なんですよ。だから母の中でも「この子はいろいろやっているけど、最終的には看護師になってもらいたい」という気持ちが強かったみたいで。ところが14歳のとき、空手の試合結果が載っている「JKFan」というサイトをチェックしていたら「映画オーディション開催!」みたいな広告が目に入ったんですよ。それは田﨑竜太監督の『サルベージ・マイス』という作品だったんですけど。

──女優に対する憧れがあった?

長野 いや、そういうわけでもなかったんです。ただ、空手の師匠がブルース・リーやジャッキー・チェンの映画を「これ観たほうがいいぞ」ってよく貸してくれたんですね。空手のための教材としてなのか、単なるエンターテインメントなのか、そこは今でもわからないんですけど……。とにかくオーディションの広告を見つけたときに私が感じたのは「空手の技を使ってアクションできそうだな」ということ。それで通行人役でもいいから記念に受けてみようかなと思ったら、いきなりヒロインに選ばれたんです。ちょっと信じられないくらい恵まれていましたね。

──では女優業の下積みもなければ、ヒロインになる覚悟もなかったわけですよね。

長野 そうなんですよ。監督からは「じゅりあちゃんは空手をカッコよくやってくれたらそれでいい」と言われていましたし、実際、自分も演技なんてまったくできないので、とにかく空手のアクションをするということに集中していました。だから気持ちのうえでは「女優デビューしました!」という感じでもなかったんですよ。本当に空手の延長線上だったので。

──周囲の見る目は違ったんじゃないですか? 急に学校でモテ始めたりもしたのでは?

長野 いやいや、全然ですよ。たしかにネットニュースとかで「空手美少女が銀幕デビュー!」とか書かれたこともありましたけど、「そんなことより私は空手で世界一を獲るほうが大事だから」という気持ちだったんですね。そもそも1年365日ずっと練習しているわけだから、他の子みたいにカラオケとかで遊ぶ時間がなかったんです。だから浮ついた気持ちにもなりようがなくて(笑)。女優の現場でも「すいません。今日は空手の稽古があるので、このへんで……」とか抜け出していたくらいですから。
AUTHOR

小野田 衛


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