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UPDATE|2022/05/26

「酒、パチスロ…それまではダラダラ生きていた」スターダム ウナギ・サヤカ覚醒のきっかけ

ウナギ・サヤカ 写真提供 スターダム



致し方ない部分もあった。当時の彼女の試合ぶりは、まだまだチャンピオンというにはちょっとレベルが……という感じ(実際、シングル王座にはここから半年以上、何度挑戦しても手が届かなかった)。その流れを変えたのが2021年2月に開催された『ウナギ・カブキ7番勝負』。毎大会シングルマッチが組まれたのだが、その相手がジュリア、朱里、岩谷麻優といったトップどころばかり。しかも、どの選手もウナギの壁になろうと厳しい攻めを見せる。特に「スターダムのアイコン」としてバリバリのベビーフェイスである岩谷麻優が鬼の形相でキラーぶりを発揮した一戦には、全観客の背筋が凍った。まさに地獄の7試合である。

「キツかったですけど、あれがあったから今の私がいる。経験値が足りなかったから、シングルマッチをいっぱいやるしかなかったし、このリングで生き延びていこうと思ったら、やっぱり強いヤツと一発タイマンかまさないとダメなんですよ! ただ、あの7番勝負は私よりも対戦してくださった方たちにとっての試練だったんじゃないか、と思います。だって、その気になれば、あのころの私なんて3分で倒せるんですよ、みなさん。そんな私と闘って、ちゃんとした試合を成立させてくれた。トップに立つプロレスラーの懐の深さと力量をすごく感じましたね。

あの7番勝負のおかげで、なんとなく『矢印はこっちなんだよ』とみなさんに導かれたような気がします。その直後に日本武道館大会があって、そこでは7番勝負が終わった解放感しかなくて、まさにあの日、自分が“傾奇者(かぶきもの)”として生きていくにはこっちだ、という矢印を見つけたような気がします」

その数か月後、彼女はリングネームを現在のウナギ・サヤカに改め、スターダムのリングに上がっていた。(後編へつづく)

【後編はこちら】「レスラーの枠で収まるつもりなんてない」スターダムの傾奇者ウナギ・サヤカ天下取りの野望
AUTHOR

小島 和宏


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