──『殺さない彼と死なない彼女』もそうでしたが、小林啓一監督の作品に出てくる人物は漫画的なキャラクターでありながらリアリティがあるので、一つひとつの言動が心に刺さります。
神尾 監督は自分の中に確固たるイメージがあって、そのこだわりを持って演出されているんです。こちらから疑問と聞くと、必ず納得できる答えが返ってくる。僕らは信頼して、監督の構想に近づけるように演じました。
──些細なシーンも印象に残る作品だなと思いました。
西野 宿木(馬場ふみか)が「私も友達になりた~い」と言うシーンの手の動きが最高でした。宿木のキャラクターが好きなんです(笑)。
神尾 宿木は「こういう人、いるな~」って思わせる絶妙なキャラクターですよね。
西野 東雲(平祐奈)が西条を待ち伏せして、「西条さん!」と呼びかけて2人でゆっくり歩き始めるシーンも好き。
神尾 あのシーンは歩き出すタイミングをどう合わせるのか話し合ったんです。僕の好きな些細なシーンは……難しいですね。そうだ、西条と北代が鮎を釣っているシーンの、北代の「どうした、どうした」というセリフは印象に残ってます。
──予告編にも出てくるシーンですね。
神尾 監督はあのセリフの言い回しにこだわっていたんです。
西野 そうだったね。「どうした、どうした」より、西条がしゃべりながら鮎をキャッチするところが難しそうだったけど。
──あのシーンは事前に練習したんですか?
神尾 当日の朝に教えてもらったんですけど、セリフのタイミングと合わせることに苦戦しました。本番は「失敗して当たり前」という気持ちで臨んだら2、3回で成功したんです。
西野 成功した時は現場が盛り上がりました。「うお~!」「すげ~!」って(笑)。
──西条と東雲が恋について話すシーンで、恋愛相手に求めるものに「自分に足りないもの」と「共感」が挙げられていますが、2人は恋愛に限らず、付き合う相手にどちらを求めますか?
西野 私は自分に足りないものを求めてしまいます。男女問わず、「こういう人になりたい」と憧れる人に魅力を感じるんです。
神尾 僕は共感を重視します。ベースの考え方は一緒だといいなと思って。
西野 共感も大切だと思うので、どちらかといえば、の話です(笑)。