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UPDATE|2022/03/23

プロレス大賞新人賞・SKE48荒井優希、レスラーとしての才覚と“アイドル人生”逆転劇

SKE48荒井優希(C)東京女子プロレス



みずから、というのは2・11後楽園ホール大会で、彼女から伊藤麻希へ直接、挑戦状を叩きつけたから。この日の試合はABEMAとYoutubeで無料配信されており、普段は女子プロレスをあまり見ないような層も多く視聴していた。そこに現役アイドルが登場して、タイトルマッチをぶちあげたのだから、その話題は即座に広まったし、王座奪取の期待もイッキに高まった。

これが冒頭の伊藤麻希のセリフにつながってくる。荒井優希のシンデレラストーリーに期待する世間の空気を感じとった上で、その空気を読まずに叩き潰したチャンピオン。じつはかくいう伊藤麻希も、もともとは九州を拠点とするLinQというアイドルグループのメンバーで、初期はその肩書きを背負ってプロレスのリングに上がっていた。

ところがアイドルグループの再編により、他のユニットに異動させられた伊藤麻希はみずから「クビになったアイドル=クビドル」を名乗り、自虐することでプロレスラーとして注目を集めていくことになる。正直、最初のころは空回りというか、すべり倒していた時期もあったが、そうやって身を削って闘ってきたことで、どんどんファンからの信頼を得て、いつのまにかチャンピオンベルトが似合うプロレスラーになっていた。

荒井優希が歓迎ムードの中でデビューすることができたのは、そうやって伊藤麻希が道を切り拓いてくれていたから、という側面が非常に大きい。そういう先人がいて、お手本を目の前で示してくれたことは、間違いなく荒井優希の急速な成長にひと役買っている。アイドルとしての「格」ではSKE48の方が上かもしれないが、リングに上がってしまえば、そんなものはまったく関係なくなるのがプロレスの面白さ。アイドルとしての「人生逆転劇」である。(後編へつづく)

【後編はこちら】SKE48荒井優希、リングでの完敗から始まる物語「それでもプロレスを続けていく」
AUTHOR

小島 和宏


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