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UPDATE|2022/03/01

スターダム・上谷沙弥が涙で向き合った人生最大の黒歴史、変えるのは過去ではなく未来

上谷沙弥・写真提供・スターダム



「ベルトの重みもそうですけど、メインを務めるということは団体を背負うということ。その責任感を持たなくちゃいけないし、チャンピオンである以上『どうしよう……』なんて言っちゃいけないんですよ」

この段階で人生のどん底だったあの日なんて、とっくに払拭していたに違いない。人の器的にも、プロレスラーとしても。ただ、しっかりとお客さんを満足させる試合をしつつ、勝利で締めくくってベルトを守りきらないことには、きっと、上谷沙弥にとっての過去の清算は終わらない。

必殺のフェニックススプラッシュから3カウントが入り、見事に防衛に成功した上谷沙弥。だが、それでもまだ彼女の想いは晴れていなかった。そう、過去を払拭するだけでなく、未来を変えることが真の目的。だから、上谷はリング上から林下詩美と中野たむを指名し、3月の両国国技館2連戦で最強のチャレンジャーを2日連続で迎え撃つことをアオーレ長岡のリング上で高らかに宣言した。

じつはこの日、5月5日に福岡国際センターでビッグマッチが開催されることが発表された。昨年、バイトAKBの同期であるHKT48の松岡はなと再会したとき「ここにベルトを持ってくることができなかったことだけが残念」と言っていた上谷がベルトを巻いてHKT48の本拠地である博多に行ける好機がやってきたのだが(会えるかどうかはお互いのスケジュール次第ではあるが……)、あえて、とてつもなく高いハードルをみずから設定したことになる。

最後の最後までチャンピオンらしく、メインイベンターらしく立ち振る舞った上谷沙弥だったが、花道を引き揚げるときには、もうボロボロと涙を流していた。7年前、オーディションで落とされた名もなきアイドル志望の少女が、いま、チャンピオンとして万雷の拍手を浴びながら、あの日と同じ場所に立っている。

7年間、ずっと胸の奥にひっかかっていた後悔は美しい過去に変わり、この日の涙が歴史を塗り替えた。その結果、どこまで強くなれたのか? 3月26日、27日の両国国技館でその答えは出る。

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AUTHOR

小島 和宏


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