「だから、もっと高みを目指したいし、私の最終目標って、たくさんの人が学校帰りや仕事終わりに『ねぇ、ちょっと女子プロレスを観にいかない?』って気軽に足を運んでいただけるような世界を作ること。まだまだ時間はかかりそうなので、いまからでも中野たむの応援をはじめても間に合います(笑)。このところ、踏んだり蹴ったりが続きましたけど、ここからもう一冊、本を書けるぐらいがんばります。だって、ここ数カ月間の悲劇だけで、もう一章分ぐらい書けちゃいますよ、アハハハ!」
ちなみに彼女の自伝『白の聖典』には書籍としては異例の「袋とじグラビア」が付録としてついている。とはいえ、いわゆるネタなんだろう、と思っていたら、温泉で撮影されたそのグラビアは、結構な露出度だった。「いろんな人に止められましたけど、自伝を出すなんて一生に一度のことなんだから! と私が押し切りました」と中野たむ。本当にもう一冊、本を出せる日が来たら、今度はどんな企画で度肝を抜いてくれるのだろうか?
そんなことを話していたら、中野たむを巡る環境が劇的に変化しはじめた。元WWEのスーパースター・KAIRIと3・26両国で対戦することが決まったかと思えば、中野たむから白いベルトを奪った上谷沙弥が3・27両国での挑戦者として逆指名してきたのだ。
「自伝の中に闘いたい相手としてKAIRI選手の名前を挙げていたので、裏読みが好きな人は本を書いている時点で対戦が決まっていたのでは? とか思っているみたいですけど、本当になんにも知らなかったんですよ。偶然……とかいうとカッコ悪いな、そう、私の自伝は「予言の書」でもあるんです(笑)。昨年、ベルトを落とさなかったら、そして、今年、チャンスを逃すことがなかったら、私は別の試合を組まれていたわけで、そう考えたらただただ運が悪かったわけでもないんだな、と」
踏んだり蹴ったりを乗り越えた先に待っていた「願ったり叶ったり」。数奇な運命をたどってきた中野たむのプロレス人生は、ここからさらに面白くなりそうだ。
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