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UPDATE|2022/02/26

敗北、裏切り…スターダム・中野たむを襲った不運の連鎖「この身が朽ち果てるまで闘ってやる」

中野たむ 撮影・高澤梨緒



「もうね、踏んだり蹴ったりですよ(苦笑)。ただ、ここまでくると開き直れますよね。逆境だからこそ輝けるのが中野たむじゃないか、と。そう思えたのはやっぱり仲間がいてくれたから。リング上で取り乱してしまった私の代わりに、白川美奈がマイクで私の気持ちを代弁してくれたし、いつもはとんでもないことをやらかすウナギ・サヤカも、すごく冷静に大人の対応をとってくれて。あぁ、コズミック・エンジェルズっていいユニットだなって。桜井に裏切られたことで、(同期の)月山和香も含めて、みんなの情念が沸々と湧きあがってきている。そうだ、逆境だからこそ輝くのは私だけじゃない、コズミック・エンジェルズもそうなんだ、と実感しました」

おもわず「踏んだり蹴ったり」という昭和チックなワードが飛び出すほど、たった2か月のあいだに度重なる不幸に見舞われた中野たむが、それでもしっかりと前を向けるほど強いのにはわけがあった。自伝『白の聖典』を読めば一目瞭然なのだが、これまでの中野たむの人生の波瀾万丈ぶりを思えば、まだまだ、これぐらいでは不運とはいえないのだ……。

幼少期にタレント養成所に入って以降、バレリーナ、ダンサー、アイドル、プロレスラーとさまざまなキャリアを積んできた中野たむ。どのジャンルでも箸にも棒にもかからない、ということはなく、一度はチャンスを手にするものの、本人いわく「チャンスをつかみかけると、スルスルと手元から逃げていく人生」だった。いま、プロレスラーとして大成したが、じつはプロレス入りした直後に大けがも経験しており、ここにたどりつくまでは苦難の連続だった。

「そんな人生だったから、どこかで『あきらめる、ということをあきらめた』んでしょうね。それは今回、本を書いたことで私も気づきました。どの世界でも成功者になれるのって、ほんのひと握りじゃないですか? 私はそのひと握り側の人間じゃない、とずっと思っていたんですけど、そうやって自分で自分の限界を決めちゃダメだよな、と考えるようになってから、すべてが変わった気がします。まぁ、私がドMだから、そんな人生に耐えられただけかもしれないですけどね(笑)。

アイドルもプロレスも一緒で、ファンのみなさんとは運命共同体だと思っています。ファンの方たちと一緒に夢を追いかける。ひとりじゃできないことでも、みんなとだったらできるかもしれないし、そんな私の姿を見せることで楽しんでもらうだけじゃなくて、少しでも生きる力をあげられたらなぁ~って」

AUTHOR

小島 和宏


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