チャンスも早々に巡ってきた。1月29日、名古屋・ドルフィンズアリーナで開催されたビッグマッチは愛知県出身の中野たむにとっての凱旋興行。ポスターにもデカデカとその姿が印刷され、ライバルである岩谷麻優、ジュリアとの3WAYマッチも組まれた。
3人が同時に闘うこの試合に勝ち残れば、3月26日、27日の両日、両国国技館で開催されるビッグマッチでワールド・オブ・スターダムの赤いベルトへの挑戦権が与えられる。この上ないチャンスに中野たむは「プロレスの神様は私のことを離してくれない」とまで思ったそうだが、体調不良により、泣く泣くその大会を欠場せざるを得なくなってしまった。
「すごく落ちこみました。急に欠場して、ファンのみなさんにも申し訳なかったですし、プロレスの神様から『もう、辞めろ』って言われているのかなって。たしかに『お前、もうリングで好き放題やって、やりたいことはすべてやっただろ?』と言われたら、そうなのかもしれないなって。
それでも前向きに気持ちを切り替えたばっかりだったので、次のことを必死で考えたんですけど、もうね、焦りしかないんですよ。私がいなくても大会が成立して、もう岩谷とジュリアのあいだで両国国技館への物語が勝手にはじまっちゃっている。もう試合結果とか、どんな内容だったのかも確認できなかったですよ。こうやって急に欠場する選手が出ても大会が成立してしまうのは団体として強い、と言う方もいますけど、選手としては怖いですよ。ひとりだけ取り残されてしまうような感覚で……」
そして、不幸の連鎖はまだまだ続く。2月中旬にやっと復帰を果たすが、その矢先にコズミック・エンジェルズのメンバーである桜井まい(ミスFLASH2022ファイナリスト)が、ジュリア率いるドンナ・デル・モンドへ寝返ったことが判明。ベルトだけでなく、大事な仲間までを失ってしまうことに……。