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UPDATE|2022/01/14

実は裁判も起こされていた、俳優転身の川上なな実が振り返る半生「騙されたのは自分のせいでもあった」

写真/熊谷直子

2019年にNetflixドラマ『全裸監督』に出演したことでも話題を呼んだ川上なな実。かつての芸名「川上奈々美」から「川上なな実」に改名し、AV女優としての仕事を引退して専業の役者として生きていくことを発表したが、実はこの2年間、彼女が被告になった裁判が進行していた――。今まで公表していなかった訴訟のことや、個人事務所を営みながら映画製作や写真展の開催に奔走する現状について、包み隠さずに語ってもらった。

【写真】発売されたばかりの川上なな実の写真集カット&インタビュー中の撮り下ろしカット【11点】

――ちょうど今日(1月12日)が、デビュー10周年の日だったんですね。

川上 そうなんです。それで今日は小説と写真集の発売日で(※)、たまたま裁判の判決も出るので、私ここから生まれ変わるんです(笑)。

(※自ら執筆した自伝的小説『決めたのは全部、私だった』と、写真家の熊谷直子と制作した写真集『すべて光』)

――先日お会いした際にその裁判のことを聞いて、いても立ってもいられず今日インタビューさせてもらっているわけですが、そもそも誰に訴えられたんですか?

川上 二十歳くらいのとき、渋谷で私に声をかけてきたスカウトマンです。デビューしてから数年間、私はそのスカウトマンから毎月決まった給料をもらってたんですけど、途中でその振り込みが途絶えたんですね。その人、飛んだみたいで。それまでにもいろいろおかしなことはあったんですけど、何年も経ってからいきなり裁判を起こされて。

――どういう内容だったんですか?

川上 私の仕事に関する今までの活動費っていうことで、5000万円の損害賠償請求をされました。もともと、スカウトされたときに私がサインした契約書を出されたんですけど、そもそもスカウトマンは一切仕事を取ってきたりしない立場なので、活動費を請求するっておかしいんです。相手の弁護士も証言を出さないで事実とは違うことを言い続けていて。

――判決はもう出たんですか?

川上 出てるんですけど、この取材を受けるまでは見ないようにしてました(笑)。ちょうどさっき、LINEが届いたんで、見ますか? えーっと……。あ、勝ちました! 私からしたら、「でしょうね」って感じなんですけど(笑)。

――2年に渡った裁判も、これで一段落という感じですね。

川上 はい。あのスカウトマンは、人類で唯一許せない人ですかね。小説にも書いたように、私の周りにはいろんな人がいて、騙されたり巻き込まれたりしてきましたけど、みんな人間味があったんです。でも、あのスカウトマンだけは直接会ったときも人間味を感じたことはなかった気がします。
AUTHOR

西中 賢治


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