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UPDATE|2022/01/13

『カメ止め』上田慎一郎監督が語る“異色”の最新作「構想10年やっと実現…今までにない映画を」

上田慎一郎監督 撮影/松山勇樹

2018年に公開し、興行収入31億円を叩き出した『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督の最新作『ポプラン』が、1月14日に公開される。「ある朝突然、男性の“アレ”(ポプラン)がなくなってしまったら…」という奇想天外なストーリーで、パニック、自分探しのロードムービー、人間ドラマ…と様々な要素が詰まった唯一無二のエンターテイメント作品に仕上がっている。今回、上田監督に構想10年の『ポプラン』が上映に至るまでの苦労を聞いた。(前後編の前編)

【写真】最新作は奇想天外のエンタメ作品、上田慎一郎監督

――『ポプラン』は10年間温め続けてきた企画だそうですが、当初から今の内容に近いものだったのでしょうか?

上田 当時20代後半でフリーターだったんですけど、「ある朝突然、男性の“アレ”(ポプラン)がなくなってしまったら」という奇抜なアイデアを思いついたんです。すぐに脚本化したんですが、ポプラン探しが自分探しの旅になるというような、今の原型に近いものを書いていました。何度か映画化したいと思うこともあったんですが、なかなか実現には至らず、ようやく今回実現することができました。

――どうして実現まで時間がかかったんですか?

上田 お金もなかったですし、作る環境もなかったんです。一度、映画化のチャンスもあったんですが、そのときはコンペで落選してしまいました。『カメ止め(カメラを止めるな!)』(2017年)以降、ありがたいことに「オリジナルを一緒にやりましょう」と声をかけていただける機会も多いんですけど、『ポプラン』は落選ばかりでした(笑)。

――確かにプロットを聞いた限りでは、かなり際どい内容になりそうだなと危惧しますよね(笑)。

上田 そうなんですよ。メジャーではなかなかできない。だけど今回、「Cinema Lab(シネマラボ)」(※「自由に映画を創る」というスローガンのもと、本広克行、押井守、小中和哉、上田慎一郎と4名の映画監督が設立)という映画実験レーベルを立ち上げるということで、「好きなことをやっていいよ」と言われたので、この企画を出したらスムーズにOKが出ました。

――完成した作品を見させていただきましたが、コメディー要素もありつつ、胸を打つ内容でした。ただプロットを聞いただけでは、どういう映像になるのか予想もつかないですが、周囲の反応はいかがでしたか?

上田 最初にあらすじだけ聞くと、カルト映画やB級映画を想像するかもしれないんですけど、そういう映画じゃないんですと。一見キワモノに見える題材を、それとは相反する上質な手つきで仕上げた、今までにない映画を作りたいですと、スタッフだけではなく、キャストのオファーをするときにも伝えました。大抵の反応は「上品なイチモツの映画ですよ」「はあ……」みたいな感じでしたけど(笑)。

ある程度は、その時点で伝わったと思うんですが、みなさん完成した作品を見て、「こうなるんだ」と改めてビックリしていました。

AUTHOR

猪口 貴裕


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