――マルコスさんが入社して2年後、会社の業績が下がり、打開策として「社員でバンドを組んで音楽で会社を立て直す」と社長が言い出します。こんな、ぶっ飛んだ提案を受け入れたのが信じられないのですが……。
マルコス 人が考えもしないことをパッパッと思いつく社長で、むちゃくちゃなことを言ってくるけど、ちゃんと結果も残すので、ついて行ってみようかなという気持ちになるんですよ。だから、ある日突然、音楽で会社を立て直そうと言いはって、私も含めた女性社員4名が「今日からボーカルでやってな」って命じられたんですけど、みんな初心者ですし、「いやいやいや」と思いつつ受け入れていました(笑)。もちろんアパレル部門も並行して続けていたんですけど、社長はDJを担当しました。
――学生がバンドを組むのと同じノリですよね。目立ちたがり屋でもなかったというマルコスさんが、よくボーカルをやろうと思いましたね。
マルコス 最初はめちゃくちゃ苦痛でした。会社の人の前でカラオケを歌うのすら恥ずかしくて、「いやや、いやや」ってなっていたんですけど、やっていくうちに本腰を入れ始めて、いつの間にか「よし、やろう!」って積極的になっていました。
――バンドがブレイクの兆しを見せた頃、マルコスさんはプレッシャーで短期間の失踪を繰り返し、最終的にバンドを脱退して会社も辞めてしまいます。当時のバンドのファンは今の活躍を見てビックリしているんじゃないですか?
マルコス そうですね。釣りを始めたときは、「なんで釣りなんてやるの?」「どうせ、すぐやめるやろう」みたいな反応も多くて(笑)。ただ見守ってくれるファンがいたからこそ、今の活動に移行できたところもありますし、生配信の経験も今に活きています。
――会社を辞めて、どういうきっかけで釣りを始めたのでしょうか?
マルコス もともと魚自体が好きで、中学生の頃から金魚を飼っていたんです。それも普通の飼い方ではなくて、わざわざ奈良県の大和郡山市という金魚で有名なところに買いに行って、繁殖もさせて。
――繁殖は自分用ですか?
マルコス そうです。だから家中、水槽だらけになりました(笑)。ずーっと見ていられるぐらい金魚が好きで、バンド時代も飼っていたんですよ。それで会社を辞めて、時間ができて、心が疲れていたのもあるし、癒されたいなと思って、ふと釣りをしてみようかなと思い始めたんです。