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UPDATE|2021/12/30

“コロナの女王”岡田晴恵が叩かれるリスク冒してまでテレビに出続けた理由「対策を提言する必要性があった」

岡田晴恵 撮影/松山勇樹

コロナ禍において、連日多くの報道番組などで新型ウイルスについて解説してきた、白鷗大学教授で感染症専門家の“コロナの女王”岡田晴恵。ここ約2年の奮闘について綴った著書『秘闘―私の「コロナ戦争」全記録―』(新潮社)が12月22日に発売された。「この本を書くには勇気がいりました、覚悟も必要でした」と語る彼女に、改めて今伝えたいことを聞いた(前中後編の中編)。

【前編はこちら】“コロナの女王”岡田晴恵が語る感染症専門家になった理由「非常にミステリアスな学問」

【写真】約2年の奮闘を本にした“コロナの女王”岡田晴恵

──岡田先生は連日すさまじい勢いでテレビに出演されていました。睡眠時間も極限まで削り、本業に差し支えることもあったかと思います。そこまでご自身を駆り立てたものは何だったんですか?

岡田 コロナが入ってきた、流行しているという緊急事態ですから、私からすると、当たり前の話なんです。新型コロナの第3波、以降、特にこの夏の5波では、PCR検査すらなかなか受けられない人も出ました。保健所も逼迫して、自宅療養の人もたくさん出ましたね。そうしている間にも自宅療養中に亡くなる方も増えてしまった。

一方、病院側も大変な状態に陥って、一時期は救急救命の現場が逼迫して、救急搬送の患者さんが何時間も搬送先が決まらない事態になってしまった。つまり、コロナの患者さんの医療も逼迫する、さらには連動して、一般医療やコロナ以外の救急医療にも甚大なる影響が出たということです。そうなっていない人はあまり感じないかもしれないけれど、感染した当事者にとっては極めて厳しい、過酷な状況です。

私はウイルス学、免疫学をやって、その上に感染症対策、さらにパンデミック対策を仕事でやってきましたから、コロナウイルス感染症の発生、国内侵入を危機管理として捉えた、ということです。そして、このような新型ウイルスでは、まず、最悪の事態を想定して、いかに国民の健康被害を小さくするかを考えないといけない。まずは、検疫。でも、ウイルスは入ってくる。

だから、拡げない対策を考えないといけない。それは、いかに先手で対策を打って、流行を小さくして、ワクチンが出るまで、治療薬が出るまで待つかが大事です。さらに経済を守るためにも、ウイルスを拡げないことが大事です。広がって流行してしまうと、人の行動の抑制をお願いしないといけなくなるからです。緊急事態宣言を出さなくていいような対策をまずは、早く実行することが必要でした。そのために私は、解説で訴えていました。

──それは理解できるのですが、なぜ他の専門家たちはメディア出演しなかったのでしょうか? たとえば岡田先生の師匠筋にあたる先生方とか。岡田先生ばかりに過度な負担がかかっている印象もありまして。

AUTHOR

小野田 衛


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