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UPDATE|2021/12/30

“コロナの女王”岡田晴恵が語る感染症専門家になった理由「非常にミステリアスな学問」

岡田晴恵 撮影/松山勇樹

コロナ禍において、連日多くの報道番組などで新型ウイルスについて解説してきた、白鷗大学教授で感染症専門家の“コロナの女王”岡田晴恵。ここ約2年の奮闘について綴った著書『秘闘―私の「コロナ戦争」全記録―』(新潮社)が12月22日に発売された。「この本を書くには勇気がいりました、覚悟も必要でした」と語る彼女に、改めて今伝えたいことを聞いた(前中後編の前編)。

【写真】約2年の奮闘を本にした“コロナの女王”岡田晴恵

──感染症対策の専門家として毎日のようにテレビ出演している岡田先生ですが、そもそもどうやって感染学という学問にたどり着いたのか? 学生時代のことから教えていただけますか。

岡田 私の母親がそもそも教育熱心で、遊びに行くのもNGという家庭だったんですよ。家でもテレビより本を読めと躾けられました。最近、「NHK紅白歌合戦」関連のインタビューを受けた中で改めて気づいたのは、私の世代だったら誰でも知っているような当時の歌謡曲とか流行った曲をほとんど知らなかったんですよ。実は、あの大スタージュリー(沢田研二)さんも、最近、知りました。それでYouTubeで探して、「勝手にしやがれ」の動画を見て、「本当に素敵だなあ」と思って。

男性の魅力と色気、翳りも弱さもその美形のなかに落とし込まれている、沢田研二さんに気づいたり。たぶん、30年以上、人より遅れているんですけれど。やっと知りました。

一方で母の教育効果で、本は大好きだったので、小学校のときも教室や図書館で一人で本を読んでいることが多かった。小学校の高学年の頃には、もう漱石や鴎外、司馬遼太郎も読んでいましたし、中学に入ると吉村昭、阿川弘之、三島由紀夫などの先生らを読んでいましたね。女流作家では、宮尾登美子先生の長編小説にはまっていた頃もあります。

──最初からゴリゴリの理系というわけではなかったんですね。

岡田 担任の先生からは文学部に行くのじゃないの?って真顔で聞かれました。私もそう思っていましたが、母の意向は理系でした。でも文学って本質的に人間の生き難さ、人生の苦しみが描かれている。小説の主題は人生のつらさや悲しみが多いですよね。そうすると、やっぱり文学って病気とも切り離せないところがある。同様に戦争や貧困も文学のテーマとしては外せない。

AUTHOR

小野田 衛


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