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UPDATE|2015/06/13

武藤彩未史上、もっとも熱いライブ「A.Y.M. ROCKS ~ROCKな夜~」ライブレポート

武藤彩未「A.Y.M. ROCKS ~ROCKな夜~」ライヴレポート@渋谷CLUB QUATTRO 09.JUN.15

 4月29日にメジャーデビュー1周年ライヴを成功させた武藤彩未が、新たなステップとなる「A.Y.M. ROCKS」2デイズを6月9日・10日に行った。6月9日ということで〝ROCKな夜〟と題された初日の模様をお届けする。

 

 梅雨入りが発表されて間もない関東地方。6月9日、東京・渋谷の近辺は雨こそ降っていないものの、湿度が高く気温以上の暑さが体感される一日となった。4月29日のバースデーライヴ以来、およそ40日ぶりのライヴ。6月10日をもじった〝ムトーの日〟のライヴは今年、9日・10日の2日間に拡大された。バンド編成で行われる「A.Y.M. ROCKS 」初日、〝ROCKな夜〟がいよいよ始まる。

 前方下手寄りの柱が名物のCLUB QUATTROのキャパは800人だが、平日という事もあり、フロアは若干スペースに余裕がある。ステージ背景には、AYM ROCKSと手作り感のあるポップなロゴが浮かび上がっている。ステージ下手より、ベース、ドラムス、キーボード、ギターと機材が並ぶ。武藤自身がチョイスしたという客入れのBGMが次第にフォロアを温める中、19時5分、武藤本人による影ナレーションが始まるとフロアは一気にヒートアップ。

 続いてオープニングSEに乗せバンドメンバーが登場し、大きな拍手の中武藤が登場すると、観客は両腕を突きあげ身体を揺らす。

 最初の曲は『A.Y.M.』だ。ロックの日らしく、いつもより激しいアレンジのギターが炸裂する。武藤はこれまでとは雰囲気の違う黒白モノトーンの衣装に、耳を出したポニーテールというスタイル。輝くような笑顔で一語一語を丁寧に伝えるように歌う姿は、この場所に立てた喜びに満ちている。フロアもその熱い想いに呼応するように、最初からトップギアで声を上げる。続く『Doki Doki』では、赤と青を基調としたシンプルなライティングの中、リズミカルなタタンという手拍子をこなす観客に、武藤も満足そうな表情を浮かべる。

 「皆さん盛り上がってますか?」という武藤に大きな拍手で応えるフロア。「『A.Y.M.』歌い切れて良かった!」と続ける武藤に、大きな拍手と笑いが起きる。前回、渋谷公会堂のライヴで歌詞を間違えてしまった因縁の同曲を最初に持ってきた武藤。早く歌ってしまって安心したかったのかも知れない(笑)。ステージとフロアの距離が近いライヴハウス。「地蔵になってたらわかりますからね」とおどける武藤に歓声が飛ぶ。


次ページは、彩未セレクトのロックナンバーを披露!

なんとギターを初披露!「いつかは弾き語りできるように」

 3曲目はミステリアスなメロディラインと複雑な歌唱が印象的な『Daydreamin’:』、続いては『交信曲第1番変ロ長調』と、序盤からキラーチューンを並べてファンをエキサイトさせるセットリスト。曲順もすべて自身でプロデュースしたという武藤、観客をどこまで熱くさせるつもりだろうか?

武藤彩未『I-POP』

 その武藤自身、「熱い!」と叫ぶ盛り上がりっぷり。ここからは今回のライヴの目玉であるカバー曲の登場だ。本日は90年代以降の楽曲という比較的最近のナンバーがセレクトされた。まずは北海道出身のガールズバンド・Whiteberryの2000年の大ヒット曲『夏祭り』だ。武藤ファンの世代にとっては、1990年にオリジナルを発表したJITTERIN’:JINNのバージョンの方がなじみ深いかも知れない。誰もが知っている冒頭部分をしっとりと歌い上げると、サウンドは一気に激しいロックサウンドへ。フロアも手拍子とかけ声で盛り上がる。間奏部分で観客を煽る武藤は実に楽しそうだ。

 続くは相川七瀬の95年のデビューシングル『夢見る少女じゃいられない』。ロックシンガー・相川の代表曲だけあって、今夜の雰囲気には最もマッチしたカバー曲に仕上がったと思う。そして中島美嘉が映画『NANA』の主題歌としてヒットさせた2005年の『GLAMOROUS SKY』。軽快なロックナンバーの連続に武藤は「汗が止まらない! 暑い!」と笑顔だ。「今回のカバー曲のテーマは、新たな武藤彩未。今までエイティーズばっかりだった自分が、敢えて触れてこなかった楽曲。ロックっていいですね!」と盛り上げる。

 次の曲は「ロックじゃないけど今一番好きな歌」と紹介する武藤。「でもロックの日だし特別なことを」ということで、ギターを初披露すると宣言した武藤に、大きな拍手がわき起こる。アコースティックギターを構える武藤に「かっこいい!」の声援が起きる。曲はシンガーソングライター・片平里菜の昨年のシングル曲『女の子は泣かない』。イントロ部分だけではあるが、嬉しそうにギターを奏でる武藤に、彼女が今後進んでいく道の一片が垣間見られたような気がした。

 曲が終了し、照れたように「まだまだですね? 陽介先生!」と問いかける武藤に、ギターの山本陽介は「よくやったよ」と笑顔。「いつか弾き語りできるように」と宣言する武藤に温かい拍手がわき起こった。

 バンドメンバー紹介に続いては木村カエラの2006年のシングル『Magic Music』、テレビアニメ『けいおん!』のエンディングテーマである『Don’:t say ":lazy":』、大阪出身のガールズバンド・SCANDALの2010年のヒットシングルである『瞬間センチメンタル』と、ノンストップでたたみかけ、大歓声の中そのまま突入した最後のカバー曲は大塚愛の『さくらんぼ』。同曲は武藤にとって思い出の楽曲。小学生時代に参加していたユニット・可憐Girl’:sのオーディションで披露したという、まさに今の武藤にとって原点とも言えるナンバーなのだ。とびきりキュートな笑顔をふりまきながら、可愛らしい歌詞の世界を表現する武藤に、フロアも「もう1回!」と息の合ったかけ声で盛り上げる。

 ライヴはいよいよ後半戦。タオルを上下に振ってステージもフロアも一体となって熱くなれる『RUN RUN RUN』、カラフルなライティングの中、汗だくで光り輝く武藤の笑顔が印象的だった『パラレルワールド』と、場内の熱気はクライマックスへ。「一点突破!」と歌う武藤の歌唱には、武藤の目指すソロアイドルとしてのさらなる高みへの強い思いが表れていた。「まだいけるね!?」と煽る武藤。そのまま本編最後の『OWARI WA HAJIMARI』へ。観客たちの手拍子、かけ声も最後まで鳴り止むことを知らない。武藤やバンドメンバーがステージを去っても、その熱い空気のまま彩未コールが始まる。


次ページは、アンコールでさらに会場が熱くなる!

激しく熱いパフォーマンスに、鳴り止まない拍手

 いつもより少し長いインターバルの後、再びステージに戻った武藤。「いつもより汗が凄くて、なかなか着替えられなかった」と笑わせる彼女の衣装は、今ライヴのオフィシャル黒Tシャツとミニスカートを組み合わせてアレンジしたもの。Tシャツ真ん中の赤いハートの柄がカッコイイ。汗だくとなった熱いライヴにしてくれたファンに感謝の言葉を述べる武藤に、温かい拍手がわき起こる。アンコール1曲目は渋谷公会堂で初披露された新曲の『HAPPY CHANCE』。ノリの良いシンプルなロックナンバーで、ファンのかけ声もバッチリ決まった。

 「皆さん1人1人のために想いを込めて歌います」と始まったラストの曲は『彩りの夏』。梅雨が終わればいよいよ夏がやってくる。来たるべき夏、武藤がどのような時間を過ごしどんな成長を見せてくれるのか。そんなことを考えながら手拍子をし、彩未コールを送る。曲が終わり、横一列に並ぶバンドメンバーたちと武藤彩未。どの顔も爽やかな汗にまみれた満足そうな表情だ。「来年のロックの日も一緒に暴れようね!」と叫ぶ武藤に大歓声で応えるフロア。

 客電がついても彩未コールは鳴り止まない。そしていつも通り、困ったような嬉しいような表情の武藤がステージに戻ってくる。「皆さんいつも帰らない」とこぼす武藤に場内から笑いが漏れる。ダブルアンコールの始まりだ。曲は『OWARI WA HAJIMARI』だ。「こんなに熱くなったら今夜寝られないです。明日もあるんですよ?皆さん」と、ファンたちの完全燃焼っぷりに満足そうな武藤。「明日もあるから、もう帰ってね?」とおどける武藤に大きな拍手がわき起こった。

 バンド編成でもライヴの回数も増えてきた武藤だが、この日のライヴは、彼女の歴史の中で間違いなく一番、ロックの熱さと激しさ、勢いに満ちたモノになったと感じる。生のバンド編成だからこそ、その場その瞬間の気持ちを大切に表現していく、といったツボを、武藤自身、今日のライヴで掴みかけたのではないだろうか?

 渋谷2デイズ、2日目がますます楽しみとなった。


セットリスト
01 A.Y.M.
02 Doki Doki
03 Daydreamin’:
04 交信曲第1番変ロ長調
05 夏祭り/Whiteberry
06 夢見る少女じゃいられない/相川七瀬
07 GLAMOROUS SKY/NANA starring MIKA NAKASHIMA
08 女の子は泣かない/片平里菜
09 Magic Music/木村カエラ
10 Don’:t say ":lazy":/桜高軽音部
11 瞬間センチメンタル/SCANDAL
12 さくらんぼ/大塚愛
13 RUN RUN RUN
14 パラレルワールド
15 OWARI WA HAJIMARI
アンコール
16 HAPPY CHANCE
17 彩りの夏
ダブルアンコール
18 OWARI WA HAJIMARI

武藤彩未『I-POP』

竹崎清彦 アイドル、ファッション、スポーツ、ゲーム攻略本など幅広く執筆。趣味はライヴ観戦。好きなアーティストを追いかけ世界中どこへでも行きます! 80年代モノに詳しい。 

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