「そうですね。あえて意識して厳しく接してきました。9周年よりももうちょっと前かな? 8周年のあとぐらいから。その時点では具体的にいつ卒業するのかとは考えていなかったんですけど、人の心を動かすのってすごく難しいし、すごく時間がかかるんですよ。だから早めに動いてきました。
私がそうだったからわかるんです。こうすればいいのにって、どうしてもっと早く気がつかなかったんだろうって。選抜に入れなくて、前向きではない時期が私にはあったんですけど、あとになって『あのとき、もっとちゃんとやっていたら……』って。そういう後悔を実際にしてきているので、後輩たちにはそういう思いをしてほしくなかった。
10周年記念公演が終わったあと、昇格できなかったからなのか、5期生がみんな泣いていたんですよ。私からしたら、なに泣いているの?って。5期生のメンバーたちは、私の知らないところですごく努力してきたのかもしれないけど、それが伝わってこないってことは、もう努力していないのと同じだと思うんです。
だから、みんなが泣いているときに『チクショー! わかったよ、やってやるよ! よく見とけよ!!』って気持ちを前面に出してくれるメンバーがいたら面白いなって私は感じちゃいました。最近、4期生のおいもちゃん(堺萌香)がすごくがんばっているじゃないですか? 私も本当にすごいなぁ〜って思うし、そういう先輩が目の前にいるんだから、5期生にはもっともっとがんばってほしい」
ある意味、5期生は村重杏奈が選抜にも入れずに悪戦苦闘する姿を実際に見てきていない世代なので、彼女の言葉の深さが理解しにくいかもしれない。それにしても10周年記念公演のあと、余韻に浸っているようにしか見えなかった彼女が、ここまで冷静に後輩たちの動向を俯瞰で眺めていたことには驚かされた。とことんおちゃらけたキャラで知られる村重杏奈だが、この10年間の道のりはけっして順風満帆ではなかったし、だからこそ伸び悩んでいるメンバーの本心は誰よりもわかっている。